WEDGE REPORT

2018年3月9日

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林 智裕 (はやし・ともひろ)

ライター

1979年生まれ。いわき市出身福島市育ち。 シノドス主宰『福島関連デマを撲滅する!』プロジェクト立ち上げメンバー。 『福島第一原発廃炉図鑑(開沼博・編(太田出版)』にてデマ検証コラム執筆。SYNODOS (シノドス) 不定期共同連載中。他、福島TRIP、ダイヤモンドオンライン、第三文明などへも記事を執筆。広がってしまった福島に対してのフェイクニュースや誤解を減らしていくための活動の一環として、「Factcheck福島」を運営。

 今年も3月11日が近づいてきました。多大な被害を出した東日本大震災と津波、その後に起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故のきっかけとなった日から7年になります。震災直後に中学生だった子供が成人する程の時間がたちました。しかし、いまだに被災地以外の地域では被災地の安全性に対する誤解が残っています。国もようやく動き始めましたが、こうした誤解を解き、被災地への偏見を将来に残さないために、私たちはどうしたら良いのでしょうか。

田中正秋/アフロ

東京都民の中で「風化」する震災の記憶

 この7年の間には、熊本での大きな地震もあるなど、日本全国で災害が起こっています。その中でも福島のことが比較的長く語られてきた理由には、日本が今まで経験したことが無かった原発事故という災害が含まれていた点が非常に大きかったのであろうと考えられます。

 原発事故は一般的な災害と異なり非常に強い政治的な色を帯びたことで、災害当初はさまざまな言説、中にはデマやフェイクニュース、ヘイトスピーチと呼べるようなものも多数飛び交いました。目の前の事実の共有すら困難な状況で放射線リスクや原発の是非を巡って議論は紛糾し、それぞれが目指す「復興」の方向さえも対立しました。

 この喧騒を経た上でも、被災地以外の場所での震災の記憶は「風化」しつつあります。そうなると「結局、あの事故は一般的にはどのような形で理解され、残されたのか」ということが重要であるといえます。

 それを探るための一つの手がかりとなるのが、2017年8月に調査され、11月に公開された三菱総合研究所による調査結果(東京都民対象・回答者数1000人)です。

 まず、『関心の薄れ』自体についてもこの調査では調べられており、『震災に対する意識や関心が薄れていると思う』と回答した人は、59%と過半数を超えました。

 また、この調査では福島県産品の食品への意識も聞いています。ケースによりばらつきがあるものの、『福島県産かどうかは気にしない』と答えたケースが最大、過半数を超える58.6%(自分が食べる場合)でした。一方、『福島県産品の放射線が気になるのでためらう』として忌避する割合は、最大で約35%(自分以外の家族や子供、外国人観光客が食べる場合)、自分自身が食べる場合でも26.3%にのぼっています。

 福島県への旅行についての意識では、12.8%~15.8%の方が積極的に訪問あるいは勧める意欲がある一方で、『放射線が気になるのでためらう』と考える方の割合は28.0%~36.9%となっており、家族や子供が訪問することへの抵抗が一番強いとの結果が得られました。

 最後にもう一つ参照するのは、放射線による健康影響についての認識です。

 調査の結果では、半数以上の方が「福島では放射線被曝によって健康被害が起こる」と考え、それが次世代以降の人にまで起こると考えている方の比率も大きくは変わりませんでした。

http://www.mri.co.jp/opinion/column/trend/trend_20171114.html

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