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2018年5月18日

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大西稚恵 (おおにし・ちえ)

トラベルライター・編集者

編集プロダクションに所属し、2012年より台湾関連のガイドブック・書籍制作に携わる。著書に『台湾を鉄道でぐるり』(2017年、ダイヤモンドビッグ社)がある。

台湾東部の観光地・花蓮の近海を震源地とする大地震発生から約3カ月が過ぎた。今回、台湾関連のガイドブックなどを手掛けるトラベルライター・大西稚恵さんが、被災地の今とおすすめの観光スポットをお届けする。

 台北から鉄道で約2時間、飛行機なら約40分でアクセスできる、台湾東部に位置する花蓮。太平洋に面したエメラルドグリーンの七星潭や、大理石が侵食されて出来た太魯閣峡谷などの豊かな自然に恵まれ、台湾人の間では「好山、好水、好空氣(よい山、よい水、よい空気)」と称されるほど。また広大な土地と恵まれた資源を生かした酪農やシジミの養殖、農業なども盛んで美食の宝庫としても知られている。

エメラルドグリーンの海面が美しい「七星潭」(iStock/rottadana)
(iStock.com/Rainer Lesniewski) 

 そんな花蓮でのんびり羽を伸ばそうと、週末になると国内外から多くの観光客が訪れ、通常であれば週末の鉄道チケットはすぐに予約で埋まってしまうのだが、4月時点では直前のチケット購入もできる状況であった。

 2月6日の花蓮近海で発生した最大震度7の地震は、南西部の高雄や澎湖諸島でも揺れを観測した。日本のメディアでも取り上げられた倒壊したホテルやビルは、いずれも活断層(米崙断層)の上にある建物だった。

 1階部分が潰れた姿が今でも脳裏に焼きついているマーシャルホテル(統帥大飯店)は、震災後10日ほどで解体撤去され、今ではまるで何もなかったかのように駐車場として利用されている。実際に現場を目の当たりにすると、目で見てわかる復興スピードの速さと、精神的な切り替えの早さに驚愕した。

すでに駐車場として利用されている「統帥大飯店」の跡地(筆者撮影)

報道と現実のギャップ

 多くのメディアが倒壊した建物ばかりをクローズアップするなか、私は地震後の3月中旬と4月下旬に花蓮を訪れた。地震規模の表記については、台湾と日本はほぼ同じとされ、同じ規模の阪神淡路大震災を体験した私にとって、訪問前は不安な気持ちが大きかった。

 花蓮市内のホテルを予約しており、余震や現地の状況によっては当日キャンセルしようとまで思っていたのだが、実際に訪れてみると拍子抜けするくらい“いつもの花蓮”がそこにあった。街が暗く感じるのは観光客が少ないせいだろうか。街中につるされた赤い提灯が、「頑張ってこの状況を乗り越えよう」と言っているようで、どこか切ない気持ちにさせた。

観光客が少しずつ戻り始めた4月下旬の花蓮駅構内(筆者撮影)
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