栖来ひかりが綴る「日本人に伝えたい台湾のリアル」

2018年4月16日

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栖来ひかり (すみき・ひかり)

台湾在住ライター

京都市立芸術大学美術学部卒。2006年より台湾在住。日本の各媒体に台湾事情を寄稿している。著書に『在台灣尋找Y字路/台湾、Y字路さがし』(2017年、玉山社)、『山口,西京都的古城之美』(2018年、幸福文化)がある。 個人ブログ:『台北歳時記~taipei story』

 第三代台湾総督で「軍神」と呼ばれた乃木希典の母親・寿子は、息子と共に台湾へおもむく際に「台湾の女子は幼いころから纏足を強いられていると聞く。わたしは、その足を自由にしてあげたいのです」と語り、明治天皇を感激させたとの逸話が残っている。

 乃木希典が母と妻を携えて台湾に渡ってから、およそ120年の歳月が流れた。今や台湾では女性が総統となり、現内閣にはトランスジェンダー女性もいる。夫婦別姓はもとより、国会議員や公務員・銀行・企業の要職を占める女性の割合も高く、スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」による国の男女間格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数(GGGI)」において、台湾は世界144ヵ国中40位前後で、2017年には114位まで後退した日本と大きく差をつけている。

 客観的数値をみても日台のジェンダーギャップ格差は明らかだが、実際に筆者が生活の中で見つけた日台の差を考えてみたい。

iStock.com/studiolaut/siraanamwong/

日本よりも圧倒的に「他人に寛容」な台湾社会

 とあるSNSのプロフィール写真に、比較的アップに映った自撮り写真を使ったところ、とある知人の日本人男性から「自分の顔のアップを公開するなんて、よく恥ずかしくないね」と言われて驚いた。少なくとも、台湾人でそんな「余計なお世話」を言いそうな友人知人の顔が思い当たらない。

 基本的に台湾人は他人に対して「当人が楽しければそれでいいじゃん」と思っているし、恥ずかしいかどうかは当人次第で、他人がとやかく言う事ではないという傾向がある(相手が身内だと、これに限らず干渉することはある)。

 先日62歳の台湾人女性が自然分娩で子供を出産した、というニュースが報道されたときも、台湾では当初「すごい」「おめでとう」という単純なお祝いムードが多数を占めたのに対し、日本ヤフーニュースのコメント欄には「母親がそんな歳で生まれた子供が可哀そう」「無責任」「無神経」という言葉が延々と並んだ。

 この件は、生命倫理や商業主義などの観点から後になって台湾社会でも問題化したが、生まれた子供が「不幸で可哀そう」と最初から決めつけている日本人が多い事にはびっくりさせられた。親とはこうあるべき、こうあってこそ幸せ、という信念のようなもの。気持ちはわからなくもないが、経済も事情も人それぞれで、高齢出産=子供が可哀そうというのは余りに「紋切り型」な気がしてしまう。しかしこの「紋切り型」の網は、現代日本人の生活全体に張り巡らされているように感じる。

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