定年バックパッカー海外放浪記

2018年7月15日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

(2017.9.5~10.15 41日間 総費用18万9000円〈航空券含む〉)

ウランバートル繁華街に氾濫するハングル文字の看板

 4月8日。国境のザミンウードを前日夕刻に出発した夜行列車はゴビ砂漠を越えて午前8時頃にウランバートル駅に到着。荷物を持って30分ほど歩くとウランバートルの目抜き通りであるエンフタイワン(平和)通りに到達。途中の交差点の道路案内に「ソウル通り」と書かれていた。

 繁華街の中心であるノミン・デパート(旧国営デパート)付近に来るとハングル文字の看板がやたらと目立ってきた。韓国人経営のレストラン、スーパー、土産物屋、旅行代理店、美容院などが目に入る。もちろん中国人経営のレストラン、旅館、旅行代理店もあるが韓国勢がやや優勢である。

古都ハラホリンの城壁

韓国飲料・食品が並ぶスーパー

 ノミン・デパートの裏手の小ぎれいなゲストハウスにチェックイン。ゲストハウスの共同キッチンの冷蔵庫を開けるとチュウブ入りやプラスチックケース入りのコチジャンが所狭しと押し込められていた。韓国人グループが入れ替わり立ち代わり滞在しているようだ。

 一休みしてからノミン・デパートに飲料・食料を仕入れに出かけた。総菜コーナーを覗くと海苔巻きが大量に並んでいた。見ていると店員がオジサンを韓国人だと思ったのか「アニョセヨ」と挨拶。海苔巻きを指さして「キムパブ(海苔巻き)、マシッソヨ(美味しい)」と片言のハングルで売り込んできた。さらに別の棚には各種キムチが大量に陳列されていた。

モンゴル人向けの韓国レストラン。毎晩かなり繁盛していた

 余談になるが、この韓国風海苔巻き、キムパブはモンゴル全土に定着しており地方の街でも手軽な食べ物として食堂やスーパーで売られている。長距離バスでは乗客がおやつ代わりに食べている。

 ノミン・デパートの食品売場フロアーで、あたりを見ると旅行者や居住者と思われる韓国人がハングルを声高に話しながらショッピングをしている。どうもアウェイ感が強い。

 飲料コーナーではOB、CASS(カス)、HITE(ハイト)など韓国ブランドビールが並んでいた。モンゴルではウオッカ(モンゴル焼酎)がリカ―類では一番幅を利かせているが、韓国の焼酎(ソジュ)もナショナルブランドの眞露(ジンロ)、鏡月が頑張っているようだ。

ハラホリンから車で半日の距離にあるモンゴルで一番の大河

韓国大使館は巨大なアート風建造物、コリアン・パワーの存在感

 統計によると2016年にモンゴルを訪問した外国人は延べ40万人。国別統計は判然としないが断トツ1位は中国で、2番目がロシア、そして3位は韓国。韓国人旅行者は2016年5万人を突破したという。

 韓国から近いことで安近短人気のようである。

 ある日、ウランバートル市内をローカルバスで観光しているときに中心部から数キロ離れた平地に巨大なアートのような建造物が突然現れた。地上10階建てくらいの超近代的デザインが目を引いた。韓国大使館であった。韓国政府がいかにモンゴルを重視しているか建物を見ただけで理解できた。

 市内のソウル通りも韓国大使館の肝いりでネーミングされたものであろう。ソウル通りの入り口に韓国風庭園が設けられていた。

庶民の足は韓国製バスと中国製バス

ウランバートルの西バスターミナル。現代、起亜、大宇等の韓国製中古バスのオンパレードである。車内の掲示はハングル文字

 モンゴルでは市内バスも長距離バスも中古バスのオンパレードである。ソ連邦時代はソ連製や東欧製バスがメインであったが、現在では韓国製中古バスが圧倒的存在感を示している。次に中国製バスであるが中国製は比較的新品が多いようだ。

 従ってバスに乗るとハングル文字表示が目につく。長距離バスのターミナルに行くと現代、双竜、起亜、大宇など韓国メーカーのロゴが並んでいる。

地方を結ぶ乗合タクシーとして使用されているミニバンタイプの商用車は大半が韓国製中古車であった。

正体不明の自称韓国系カナダ人

 ウランバートルの定宿のゲストハウスには4回、通算で13泊したが、客筋は韓国人旅行者が大半。毎回韓国人バックパッカーの若者と交流することになった。

 バンクーバー育ちで韓国系カナダ人と名乗ったテオン31歳は得体の知れない頑迷な反日論者であった。バンクーバーで育ち、モントリオール大学で国際関係論を専攻したと自己紹介したが、話していて彼が経歴を詐称していると思った。

ゲストハウスの冷蔵庫にはコチジャンなど韓国料理の調味料や食材が並ぶ

 まず英語圏で育ったというが英語が韓国訛りでボキャブラリーが限定的。しかも韓国人としてのプライドが強烈なのだ。史実を無視した反日歴史観を一方的に感情的に語る。韓国で反日歴史教育を受けた普通の韓国人若者よりも熱烈な反日感情である。

 欧米圏で教育を受けた人間なら多少は日韓関係や韓国史について客観的に語るはずであるが、多少でも史実と異なることを指摘すると感情的に教条的反日論を繰り返す。曰く性奴隷問題はナチスの犯罪と同様に国際的に裁かれるべきである等々。

 テオンは仕事を辞めて旅行中という。彼はゲストハウスに長逗留していたが、毎日どこにも出かけず一人でTVの英語ニュースを見ていた。他の韓国人旅行者とは挨拶すらせず、交流を避けていた。

 そのうちにテオンが就職に失敗して、モンゴルで引きこもっている韓国人であることが朧気ながら分かってきた。強烈な自負心から日本人のオジサンに対して見栄を張って経歴を詐称したのであろう。彼も超格差社会である現代韓国社会の犠牲者なのだろうか。

地吹雪の中、日没直前の草原の幹線道路

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