2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月2日

 トランプ米大統領とメイ英首相は7月13日、ロンドン郊外の英首相別荘で会談し、経済と安全保障の両面における米英の協力を強化し両国の「特別な関係」を維持することで合意した。

(Nerthuz/studiogstock/Lisa Bronitt/chris-mueller/iStock)

 安全保障面では、イラン核合意からの米国の一方的な離脱といった問題はあるものの、米英関係の協力強化は着実に進展するように思われる。トランプは、多くのNATO加盟国の国防費がGDP比2%の目標を未達成であることに不満を表明する際に、必ず英国が達成していることを引き合いに出し称賛している。アサド政権による化学兵器使用を罰するためのシリアへの空爆でも足並みを揃えたし、ロシアによると見られる英ソールズベリーにおける元スパイに対する神経ガス攻撃でも、米国は世界中で最も強い対応をとった。また、首脳会談後の記者会見でメイ首相が触れているが、対北朝鮮制裁のための英海軍の太平洋における活動などもある。

 これに対し、経済面ではBrexit後、米英FTA締結が模索されることになるのは確実だが、トランプは会談に先立ち大衆紙サンとのインタビューで、EU離脱後もEUとの経済的関係を維持するとしたメイ首相の方針を批判して、注目を集めた。米英FTAをめぐる、両首脳の共同記者会見での発言の概要は以下の通り。

メイ首相:米英間の相互投資は既に1兆ドルを超えている。これをさらに進めたい。我々は今日、英国のEU離脱後、米英FTAを追求することで合意した。チェッカーズ合意(Brexitに関する英閣僚合意)は、ドナルドと私に、野心的な取引に合意するためのプラットフォームを与えている。取引は、英国の独立した貿易政策、関税引き下げ、金融サービスにおける協力の黄金律、新技術における米英両国の機会獲得に立脚する。これら全ては、米英の経済協力をさらに高め、新たな雇用と繁栄を創出するだろう。

トランプ大統領:メイ首相が米国との公正で相互的な貿易を求めていることに感謝する。Brexitのプロセスが完了すれば、私はそれがどのようになるかは承知しないが、英国がいかなる選択をしようとも結構である。それは英国が決めることである。英国がなすことは、我々にとって結構なことである。我々がともに貿易をできるようにすること、これだけが問題のすべてである。米国は、英国と偉大な貿易協定を結ぶことを楽しみにしている。これは両国にとり信じられないような機会であり、我々はそれを完全に掴むであろう。

 我々は、英国民による自治実現の決定を支持する。Brexitの交渉は非常に複雑で、容易ではない。強力で独立した英国は、強力で独立した米国同様、世界にとり真に祝福すべきものである。

出典:‘Remarks by President Trump and Prime Minister May of the United Kingdom in Joint Press Conference’, July 13, 2018, White House
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-prime-minister-may-united-kingdom-joint-press-conference/


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