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2018年8月3日

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桒原響子 (くわはら・きょうこ)

PD・国際公共政策研究者

1993年生まれ。愛知県出身。2012年米国ウエストバージニア大学留学中、国際政治学や通訳翻訳等を学び、2017年大阪大学大学院国際公共政策研究科修士課程修了。公益財団法人笹川平和財団安全保障事業グループ研究員等を経て、現在、パブリック・ディプロマシーに関する研究活動等を行う。

ついに始動、「ジャパン・ハウス」とは?

 2018年6月21日、ロンドンに「ジャパン・ハウス」がオープンした。2017年4月に1号館がサンパウロに、同年12月に2号館がロサンゼルスにオープンし、これで3カ所目となる。これは日本の文化や技術などの魅力を海外で発信する拠点として、日本の外務省が設置を進めてきた施設だ。

ロンドンのジャパン・ハウス(写真:ZUMA Press/アフロ)

 世界的には情報伝達手段が多様化するなか、日本政府は海外における情報発信拠点という物理的プレゼンスを重視しているのだ。3カ所のジャパン・ハウス創設をはじめとする情報発信プロジェクトには、約300億円の予算が投入されたという。ロンドン館は、3階建てで、日本食飲食店や地方産品などを販売する店、ギャラリーや多目的ホールなどが設置されている。この施設は一から設計されている。

 施設を街の中心部に置いて住民の生活に混在させたのは、外国人がワンストップ・サービスを受けやすくなるため、彼らが日本に興味や関心を持ちやすいと見込んだからである。施設内では、日本食などの日本ブランドの発信や、日本の平和国家としての歩みや国際貢献に関する展示やセミナー、講演会の開催、さらには日本語教育など、あらゆる事業が計画された。

 また、運営方法としては、内装設計や運営をすべて現地の民間企業に委託することで、一般市民が、日本政府を意識せず、アクセスしやすくなり、また、入場料の獲得や館内での物品販売、飲食施設の運営などが可能となるため、政府負担が軽減されることがメリットとして挙げられる。日本のこうした取り組みは、世界的にも極めてまれである。

 これだけ巨額の予算を投入したジャパン・ハウスは、予算に見合うだけの効果を上げているのだろうか。そもそも、なぜ日本政府は、これだけの予算をつぎ込んでまで対外発信を重視しているのだろうか。ここでは、日本政府の問題意識とプロジェクトの概要、さらにその効果について紹介しよう。

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