世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月28日

»著者プロフィール

 最近の米国の台湾防衛へのコミットメントは急速に加速している。元ワシントン・ポスト紙北京支局長のポンフレットは、7月23日付けの同紙論説‘The U.S. makes a new push to bolster Taiwan’s military defenses. China won’t like it.’において、その様子を描写し、次のような諸点を指摘しつつ、中国がたとえ怒るとしても、米国としては台湾防衛強化のためになすべきことは多々ある、と述べている。

(thePorch/GlobalP/Seregraff/iStock John Foxx/Stockbyte)

・最近の台北における米国在台湾協会(AIT)事務所(事実上の大使館)移転を機に、米海兵隊が配備されることになったことは、1979年の断交以来の大きな進展である。

・過去40年近くの間、米国としては中国を出来るだけ刺激・挑発しないよう腐心し、台湾の領土を保全するよう努力しつつも、その間の台湾をめぐる米国の対中政策は、総じて臆病なほど慎重であった。

・最近の米国内、とくに安全保障会議(NSC)や国務省関係者内部において、中国の動きに対抗して、台湾防衛のためにより積極的に協力すべし、との意見が強まりつつある。

・4月には、国務省は、米国の防衛企業に台湾の潜水艦建造計画に向けての技術
と武器システムの売却を検討することを許可し、さらに、1992 年以来となるジェット戦闘機(F-35あるいはF-16改良型)の売却を真剣に検討していると言われている。

・トランプ大統領が貿易摩擦や北朝鮮問題nの処理のための駆け引き材料として台湾問題を扱おうとしているのか、予測不可能な面はある。

参考:John Pomfret,‘The U.S. makes a new push to bolster Taiwan’s military defenses. China won’t like it.’(Washington Post, July 23, 2018)
https://www.washingtonpost.com/news/global-opinions/wp/2018/07/23/the-u-s-makes-a-new-push-to-bolster-taiwans-military-defenses-china-wont-like-it/

 ポンフレットの指摘に待つまでもなく、簡略化して言うならば、過去40年間の米国の対中政策は、中国が「責任ある利害関係者」と呼ばれるような存在になることを期待するものであった。それは、中国が経済的に発展し、豊かになれば、おのずからより開かれ、国際的にも協調路線を歩むように「ソフトランディング」するだろう、との希望的観測の上に成り立っていた。

 しかし、最近の習近平体制は、一党独裁の「皇帝政治」の様相をますます強め、南シナ海での軍事拠点化や台湾海峡での軍事演習などの膨張的動きを強めており、かかる状況を踏まえて、米国内ではこれまでの対中方針を変えなければならない、との意識が明確に強まっている。

関連記事

新着記事

»もっと見る