Washington Files

2018年8月27日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(iStock.com/flySnow/Purestock)

 2016年米大統領選に深く関わった共和党の重要人物2人が先週、たまたま同じ日にあいついで「有罪評決」「罪自白」という事態となったことを受け、トランプ・ホワイトハウスは11月中間選挙ともからみ、きわめてきびしい局面に立たされている。

 「(前大統領顧問弁護士)コーエンが大統領弾劾への口火を切ったことに共和党憂慮」(デジタル・メディア「アクシオス」)

 「トランプ大統領の終わりの始まり」(ボストン・グローブ紙)

 「大統領弾劾問題が中間選挙の重要なカギに」(ニューヨーク・タイムズ紙)

 「アメリカの政治、危機的段階迎える」(ロサンゼルス・タイムズ紙)

(REUTERS/AFLO)

 2016年大統領選でトランプ候補の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告がバージニア州アレキサンドリア連邦地裁で脱税などの罪で有罪評決を受け、またトランプ氏の顧問弁護士だったマイケル・コーエン氏がニューヨーク連邦地裁で脱税、銀行法違反などの罪を自ら認めた去る21日、アメリカの有力メディアは一斉に、トランプ・ホワイトハウスが受けた「ワン・ツー・パンチ」(ニューヨーク・タイムズ紙)の衝撃と今後の影響について大々的に報じた。

 これらの報道の大きな特色は、ロバート・モラー特別検察官が捜査中の「ロシア疑惑」を離れ、トランプ氏側近二人の個人的犯罪に集中している点だが、いずれのケースも、大統領にとって今後悩ましい問題になりかねない要素をはらんでいる。
 
 とくに深刻なのは、コーエン氏の法廷証言だ。

 同日、コーエン氏は担当判事の前で宣誓した上で、トランプ氏と性的関係にあったポルノ女優ら女性2人に口止め料として約28万ドル(約3100万円)を肩代わりした不正献金など8件の容疑について罪を認めた上で、その目的が「トランプ候補にとって痛手となる情報が公にされることを避けるため」だったこと、そして「同候補の指示と協力の下に行った」ことを自白した。

 この点に関連して大統領は、もみ消し問題が発覚した4月当時、「女性に金が支払われたことを知らない」と事実をいったん否定した後、コーエン氏が支払ったことが報じられると「それなら本人に聞いてほしい」と言い逃れした上、「彼はどこからもみ消し金を得たのか」との記者団の追及に対しては「自分は知らない」と関わりを否定していた。

 ところが、こうした大統領のこれまでの発言が、今回のコーエン法廷証言でまったくのでたらめであったことが立証されたかたちとなった。

 この結果、大統領は翌22日、フォックステレビとのインタビューで初めて2人の女性に金が支払われた事実を認めた上で、「その支払いは選挙戦資金の中からではなく、自分のポケットマネーだった」「従って選挙資金規制法に違反しない」などと弁明した。

 しかし、大統領のこれまでの様々な発言に対する信頼性を大きく損なう一件となったことは否定できない。

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