中東を読み解く

2018年10月3日

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 トランプ政権が11月の対イラン制裁第2弾を前にイランとの対立を先鋭化させている。これに合わせるかのように、イランで軍事パレード襲撃事件が起き、イラクの米公館へのロケット弾攻撃が相次ぐなど米イラン関係は一段と緊迫の度を高めている。

22日に行われた軍事パレード(AP/AFLO)

イラン叩きキャンペーン

 「歴代政権で自分ほど成果を挙げた政権はない」と自画自賛したトランプ大統領の国連総会演説(9月25日)が議場の失笑を買ったのは記憶に新しいが、その演説でトランプ政権の外交方針の重点もこれまた鮮明になった。それは「グローバリズムの拒否と愛国主義に基づく行動」であり、「北朝鮮には融和的に、イランには厳しく、中国との貿易戦争辞さず」というものだろう。

 トランプ大統領は特にイランについて「同国の腐敗にまみれた指導部は混乱と死、破壊をまき散らしている」と口を極めて非難、イランに対する米制裁に従うよう各国に呼び掛けた。これに対し、ロウハニ・イラン大統領も国連演説で「米制裁は違法であり、経済的なテロだ」と強く反論した。

 トランプ政権のこのところのイラン叩きキャンペーンは加速の一途。「体制転換は求めていない」(ヘイリー国連大使)としながらも、シリアやイエメンなど中東各地での軍事活動をやり玉に挙げ、イラン核合意の制裁解除によってテロ支援資金を入手したと繰り返し、トランプ大統領の核合意破棄を正当化することに躍起になっている。

 8月に対イラン制裁第1弾を発動したトランプ大統領は11月4日に制裁第2弾を発動する予定。中間選挙の2日前に“ならず者国家”イランを叩いて見せるという選挙に最大の効果を狙った日程だ。当初、今回の国連総会も反イラン一色に染め上げようと考えていたが、その思惑は欧州などの反対でうまくいかなかった。とはいえ、大統領にとってイラン叩きは共和、民主両党の支持者から満遍なく集票できるテーマであり、選挙までイラン攻撃に一層力を入れることになるだろう。

イラン精鋭部隊を名指し非難

 だが、選挙に利用するためにイラン叩きを弄んでいるだけにはいかなくなっている。5月の総選挙以降、新政権を発足できずに混迷が深まるイラクで、米国に対する攻撃が激化する兆しが出てきたからだ。9月7日にバグダッドの米大使館近くにロケット弾が撃ち込まれ、同8日には第2の都市南部バスラの米領事館付近にも3発が着弾した。9月末にも同様のロケット弾攻撃があった。

 米国は9月28日、イラン支援のシーア派民兵の攻撃と断定し、バスラの領事館員の退避を発表した。事実上の領事館の閉鎖だ。特にポンペオ国務長官は声明で、「攻撃には即応する、とイランに伝えた」とし、イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ」による脅威が拡大していると名指しで非難した。

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