WEDGE REPORT

2018年10月27日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 今年のニューヨークの夏から秋にかけて、雨がやたらと多かった。

 7月は過去14年で最高の降雨量を記録し、8月は集中豪雨が1日の最高降雨量を更新。そして9月にはノースカロライナやサウスカロライナに甚大な被害をもたらしたハリケーン、フローレンスの影響で何日も雨が降り続くという、秋晴れの多いニューヨークには珍しい、湿気の多い9月だった。

 その影響なのだろうか。セントラルパークに舞茸が大発生しているという耳寄りのニュースを、友人が教えてくれた。

 舞茸とは、近頃ではどこのスーパーでも並んでいる、あの舞茸である。味も香りも歯ごたえもよく、免疫力アップの効果もあるという。栽培できるようになってから、年中気軽に手にはいるとはいえ、天然ものはマツタケと並ぶ貴重品だ。

 そしてセントラルパークとは、マンハッタンのど真ん中にある、夏はフリー野外コンサートも行われるセントラルパークである。

 摩天楼に囲まれたあの公園に、本当に舞茸など生えているのか。

立派な舞茸が生えている!

 さて地下鉄に乗って行ってみたら、あるある。驚いたことに、公園の歩道のすぐ横のミズナラの木の根元に、気前良く立派な舞茸が生えている。

(写真撮影:筆者、以下同)

 白状すれば、筆者は野生のキノコに関してはしろうとではない。日本では幼少の頃から親に連れられて岩手の山を駆け巡り、キノコ採りをして育った。

 だから馴染み深いキノコなら、大概見分けがつく。そしてこれだけの舞茸を日本で採ろうと思ったなら、朝の4時くらいに起きてまだ薄暗い中を険しい山を登り、藪をかきわけ、沢をくだって秘密のキノコ場に行かなくてはならないことも知っている。

 今年は日本もキノコが豊作で、それだけに遭難事故も多いと先日日本のニュースで読んだばかりだった。

 それがこのニューヨークでは、地下鉄の駅から歩いて5分のセントラルパークの木の根元に、さりげなく生えているのだ。

 南北4キロ、東西0.8キロという大きさのこのセントラルパークは、もちろん自然林ではない。全て人工的に作られた大庭園で、19世紀にフレデリック・ロー・オルムステッドとカルバー・ヴォーの2人の設計の元、木も一本一本植林されて現在のような形になったという。1873年に正式に開園して、遊歩道や芝生のピクニックエリア、大きな池など、バラエティに富んだ景観を成している。そしてうっそうとした森の部分には、現在では樹齢100年以上の大木が生えている。

 鳥類やリスなどの小動物はもちろん、鷹やアライグマなども住んでいるこのセントラルパークに、舞茸くらい生えていてもおかしくないのである。

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