世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年11月8日

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 10月20日、トランプ米国大統領は、専用機エアフォース・ワンで出発する前に、記者の質問に答えて、次のように述べた。

(revel.stockart/iStock)

 「ロシアは合意に違反した。彼らは何年も違反してきた。そして、何故オバマ大統領は、交渉も破棄もしなかったのか、と思う。我々は、核に関する合意をロシアが違反することはさせない。逸脱して兵器を作ることを許さない。

 我々は合意を守ってきた側で、合意を尊重してきた。しかし、ロシアは、残念なことに、合意を尊重しなかった。したがって、我々は、合意を終了させ、合意から離脱するつもりだ。」

 この発言に、記者は、「INFのことですか?」と尋ねると、トランプ大統領は、

 「はい、INFです。」と答えた。

参考:White House ‘Remarks by President Trump Before Air Force One Departure’, October 20, 2018

 この発言を受けて、丁度、ボルトン大統領補佐官がロシアを訪問する直前ということもあり、内外のメディアは、一斉にトップ・ニュースで報道した。

 今回のトランプ政権によるINF条約離脱に関する発言は、極めて遺憾なことである。 

 ロシアのINFは米攻撃には役立たないが、欧州、日本攻撃には、その射程距離上適している。かつて、ソ連が配備したSS-20が欧州、日本のみへの脅威であるがゆえに、欧米間の安全保障のディカプリングが問題となった。当時の西ドイツの首相シュミットが大騒ぎし、パーシングIIのドイツ配備、核巡航ミサイルの英配備などを、反核運動が吹き荒れる中行い、その撤廃と引き換えに全廃条約ができた経緯がある。

 これをやめるというのであれば、欧州と日本には当然相談すべきことである。欧州、日本は反対する可能性が強い。 

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