WEDGE REPORT

2018年11月6日

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武田信晃 (たけだ・のぶあき)

1973年北海道生まれ。新聞社の記者や編集者などを経てジャーナリストとして独立。香港やカナダなどに在住経験あり。

 アメリカのシンクタンク「ヘリテージ財団」と経済紙『ウォールストリート・ジャーナル』による「2018年経済自由度指数(Index of Economic Freedom)」において、24年連続で1位を獲得した香港。そのトップ、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が10月29日から11月2日までの日程で初来日し、日本と香港の経済関係の強化を訴えた。

記者会見でのキャリー・ラム行政長官(左) (筆者撮影)

 同行政長官は、東京都の小池百合子知事との会談に加え、新しい香港の文化や食の魅力と広東・香港・マカオにまたがる大湾区(グレーターベイエリア)の魅力を紹介するイベント「香港ウィーク2018 Greater Bay Area Showcase」のオープニングセレモニーへの参加や、日本で生活する香港人との交流会など積極的な活動を行った。

 そんな中でのメインイベントが香港貿易発展局(HKTDC)による経済交流イベント「think GLOBAL, think HONG KONG」だ。これはカナダ、イギリス、イタリアなどでも「think ASIA, think HONG KONG」として開催されており、日本では2012年以来6年ぶりの開催となった。現在、香港には1393社の日系企業が拠点を構えているが、これは香港に進出している外資系企業の中でアメリカなどの欧米企業を抑えてトップの数字だ。それだけに会場には香港に関心をもつ約3000人もの人々が詰めかけた。

 同イベントのシンポジウムの中で登壇したキャリー・ラム行政長官は「日本と香港は高齢化という共通の問題を抱えている。これに対応可能なシステムを作ることが必要だ」とし、世界一の長寿都市である香港、第2位の日本が共同で高齢化対策と関連する事業を進める事を期待した。加えて、「香港と中国は経済貿易緊密化協定(CEPA)を結んでおり、香港にある日系企業は中国から優遇措置を受けることができる。つまり、一帯一路でもメリットを受ける立場にある」と香港が中国経済のゲートウェイであることを改めて強調した。

 また、グレーターベイエリアの開発は、08年ごろから構想が始まり17年の全国人民代表大会で国家戦略となった新しい計画だ。この地域は、人口6900万人、中国全体の国内総生産(GDP)の12・4%を占め、17年の経済成長率は9・2%という高い数字を残しており、キャリー・ラム行政長官は「世界的レベルの研究開発ができる」とアピールした。

 シンポジウムの登壇後、メディアの取材に応じた同行政長官に対しては、8月に香港独立を訴える香港民族党の代表を招いた講演会で司会を担当した、フィナンシャル・タイムズ(FT)のイギリス人編集者ビクター・マレット氏のビザ更新を拒否したことに質問が集中した。表現の自由が損なわれることを懸念する声があることについて同行政長官は、「公の場でコメントするのは適切でない」とした上で「多くの海外メディアが香港にオフィスを構えていることが、報道の自由が損なわれていない証拠。香港は法の支配があるので心配しないでほしい」と訴えた。

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