世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月23日

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 7月30日、ポンペオ米国務長官は、ワシントンDCの米国商工会議所で開催されたインド太平洋ビジネスフォーラムにおいて、「インド太平洋経済ビジョン」と題し、約20分にわたる演説を行った。その内容の主要点を、簡単に紹介する。

(worradirek/Seohwa-Kim/Topuria Design/iStock)

・トランプ政権の自由で開かれたインド太平洋戦略の中心には、米国ビジネスの関与がある。そのことを、トランプ大統領は昨年ベトナムで述べているし、米国の国家安全保障戦略にも書かれている。

・インド太平洋地域は、米国西海岸からインドに至るまでの地域を指すが、この地域は将来の経済成長の源であり、だからこそ自由で開かれていなければならない。

・「自由」とは、いかなる国家も他国の威圧から主権を守ることができることを意味し、国内的には、人々が基本的権利と自由を享受できる社会を言う。「開かれた」とは、全ての国が、開放された海と空にアクセスできることを意味する。領土や海洋に関する紛争は平和裡に解決されるべきである。経済的には、「開かれた」とは、公平で相互的貿易、開放された投資環境、透明性のある国家間の協定等を言う。これらを通して、地域の持続的成長が可能になるのである。

・自由で開かれたインド太平洋への米国の関与は、長い歴史がある。米国務省は1794年には、カルカッタに領事を設置した。

・米国は、支配ではなくパートナーシップを求める。企業に対して何をするようにとは言わず、環境を整え、現地が潤い、二国間のパートナーシップが育つようにした。そうして米国は、インド太平洋地域の各国で雇用を増やし、成長を支えてきた。

・米国のインド太平洋戦略は、地域の国々が持続的経済成長によって輝くようにする戦略的パートナーシップを築くものであり、戦略的に依存関係を構築するものではない。トランプ大統領も述べているように、米国は引き続き自由で開かれたインド太平洋で、相互に繁栄できるような条件を整えて行く。

・米国がこの地域への関与を深めることは、米国の戦略的利益になる。世界人口の3分の1以上を占め、世界の経済大国6か国のうち4か国(米国、中国、日本、インド)がこの地域にある。ASEAN10か国は、最も世界でも経済成長が速い所であり、米国製品の主要な買い手でもある。

・米国のインド太平洋戦略は、自由で開かれたインド太平洋を促進する限り、いかなる国家も排除しない。米国は、この地域への関与を深めて行く。何故なら、米国はインド太平洋の人々と、2020、2030、2040年と将来にわたって、経済成長を共有するからである。例えば、既にこの2年間で、シンガポールに駐在する米国企業は、10%増加した。

・米国がインド太平洋への経済的関与を強めるもう一つの理由は、安全保障にある。トランプ大統領の国家安全保障戦略が示すように、「経済安全保障は、国家安全保障である。」

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