田部康喜のTV読本

2018年12月20日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(写真:Yumeto Yamazaki/アフロ)

 NHK連続小説「まんぷく」は、日清食品の創業者である安藤百福と妻・仁子の人生を描いたフィクションである。タイワニーズ(台湾人)の百福は日本人発明家の立花萬平(長谷川博己)となり、仁子は今井福子(安藤サクラ)である。

 日本統治下から国民党政権下へ……台湾人がたどった運命については、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(野嶋剛著、小学館)がある。このなかで、野嶋は「日本の食を変革する」という章をたて、「カップヌードルの謎を追って」の題名で安藤百福を取り上げている。

 タイワニーズとしてたどった、百福の人生については、日本経済新聞の「私の履歴書」をまとめた『魔法のラーメン発明物語』(日経ビジネス人文庫)が、自らを語って、その人生の波乱万丈ぶりは驚異である。

チキンラーメンもカップラーメンも
まだ開発されていないが……

 ドラマは、第12週「絶対何とかなるから!」(12月17日~22日)に至っても、チキンラーメンは登場しない。カップヌードルもまた当然ながら開発されてはいない。

 百福は、2007年1月に96歳の天寿を全うして亡くなっている。妻の仁子は、2010年3月に92歳の人生を閉じた。このドラマをきっかけとして、関係者の聞き取りなどをもとに『チキンラーメンの女房  実録 安藤仁子』(安藤百福発明記念館編、中央公論新社刊)が出版された。

 チキンラーメンを百福が発明したのは、48歳のときである。カップヌードルは60歳のときである。ドラマはこの商品開発がクライマックスになるのだろう。

 ラストに向かって、ドラマはまだ折り返し点を回ろうとしている地点にある。しかし、立花萬平(長谷川)と福子(安藤)に襲いかかる困難の数々と、周辺の人々の助けを借りながら谷底から立ち上がる二人の物語は、心を強く打つものがある。

 主人公ふたりの資料が豊富に残され、亡くなってからさほど年月が経っていないなかで、脚本家・福田靖の手腕は際立っている。ドラマ「HERO」や「海猿」、「ガリレオ」シリーズで知られる。

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