イノベーションの風を読む

2018年12月29日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

自動運転タクシーサービスを開始したウェイモ(REUTERS/Gettyimages)

 グーグル傘下のウェイモ(Waymo)は米アリゾナ州で、自動運転車を使ったロボットタクシーのサービスを開始しました(12月5日)。ウェイモは同州フェニックスで、研究プログラムに登録した世帯の住民を対象にした自動運転のタクシーの走行試験を続けてきました。万が一に備えるセーフティドライバーが搭乗しない無人のロボットタクシーも運行しています。

 ウェイモ・ワン(Waymo One)と呼ばれる新しいサービスは、完全な無人ではなく運転席にセーフティドライバーが搭乗しているため、乗客は大人3人と子ども1人の合計4人までになっています。まず、フェニックスの研究プログラムの参加者を招待し、徐々にサービス地域を拡大していくということです。

 ウェイモはこのサービスのために、クライスラー製のハイブリッドのミニバンを数千台購入する計画ですが、さらに、ジャガーと提携して自動運転のEVを開発し、今後数年間で最大2万台を市場に投入すると発表しています。商用サービスの開始によって、ウェイモは、さらにライバルに水をあけることになると思います。

セーフティドライバーの起用は、約9000キロメートルで一回

 カリフォルニア州で公道における自動運転車の走行試験を行う企業は、試験のレポートを公開しています。ウェイモは2017年に35万2545マイルを走行しましたが、なんらかの理由でセーフティドライバーが運転を引き継いだ回数が63回だったと報告しています。約9000キロメートルで一回ということになります。

 引き継いだ回数の少ない順に、二位のゼネラルモータズが走行距離13万1676マイルで105回(約2000キロメートルで一回)、三位の日産自動車が5007マイルで24回(336キロメートルで一回)ですので、ウェイモの自動運転技術はかなりのレベルに到達しているようです。ゼネラルモータズが2016年に買収したクルーズ・オートメーション(Cruise Automation)も、2019年にカリフォルニア州などで、EVを用いた無人のロボットタクシーのサービスを計画しています。

 カリフォルニア州では、これまでのセーフティドライバーが搭乗する走行試験に加え、完全に無人の走行試験や実際の一般利用についても、カリフォルニア州車両管理局(DMV)が設定した厳しい要件をクリアすれば認可するとしています。いつでも遠隔操作が可能であるという条件が付き、現時点では商用利用は許されていませんが、走行実績を積み上げることで商用利用も可能になると思われます。

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