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2018年10月19日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

(Sergey Peterman/Gettyimages)

 トヨタはソフトバンクと提携し、「MONET Technologies」 という会社を設立します。MONETは、クルマや人の移動などに関するさまざまなデータを活用することによって、需要と供給を最適化し、移動における社会課題の解決や新たな価値創造を可能にする、未来のMaaS事業を行うとのことです。

 「2020年代半ばまでには、移動、物流、物販など多目的に活用できるトヨタのモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)『e-Palette(イーパレット)』による『Autono-MaaS』事業を展開します」(プレスリリースより)

 MaaSとは、クルマや自転車などの移動手段(モビリティ)をモノとして販売して提供するのではなく、サービスとして提供するという概念です。具体的には、複数のモビリティサービスを統合し、ユーザーがルート検索や決済などをシームレスに行うことができるようにしたスマホアプリをMaaSと呼ぶことが多いようです。その場合のMaaSは、モビリティサービスのプラットフォームを意味します。

 電車やバスなどの公共交通や、タクシー、レンタカー、カーシェアリングもモビリティサービスです。そしてバイク(自転車)シェアリングや、Uberのようなライドヘイリング(送迎)サービスなど、新しいモビリティサービスを提供する事業者が続々と登場してきました。

 トヨタは昨年の9月に、トヨタにおける自動運転への取り組みをまとめた『自動運転白書』を発表しています。その中に「多くの人々にとって、クルマは電車や飛行機などと同じ、移動、あるいは輸送の手段かもしれません。しかし、トヨタは、クルマはそれらとは異なった、別格の存在だと考えています」という記述があります。これは、トヨタの自動運転への取り組みの根底にある考え方のようです。

 「クルマは所有するもの」だから「別格の存在」だということです。それは、ユーザーがクルマを所有しないでモビリティサービスを利用するというMaaSの概念と矛盾するものです。では、プレスリリースにあるAutonomous Vehicle(自動運転車)とMaaS(Mobility-as-a-Service)を融合させたダジャレのような「Autono-MaaS」とはどのようなものでしょうか。

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