世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年1月29日

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 ポンペオ米国務長官は1月10日、エジプトのカイロ大学で米国の対中東政策に関する演説を行った。長大な演説であったが、要点はオバマ批判とイラン攻撃である。まず、この2つの点についての概要を紹介する。

(werbeantrieb/flavijus/3DMAVR/iStock)

オバマ批判

 中東にとり重要な時期に米国は余りにも不在であった。それは、我々の指導者が歴史を酷く読み違えたからだ。2009年にこのカイロの地で発表された根本的な誤解は、中東全体の何億もの人々の生活に悪影響をもたらした。もう一人のアメリカ人(注:オバマ大統領(当時))は、この地で次のように言った。

・過激派イスラム主義のテロリズムはイデオロギーから発生するものではない。

・9.11は、米国に理想、とりわけ中東における理想を放棄させた。

・米国とイスラム世界は「新たな始まり」を必要としている。

 こうした誤判断の結果は悲惨なものとなった。米国こそ中東を苦しめる勢力であるとの誤った見方により、我々が必要とされている時に自らの主張を通すことに臆病になっていた。

 我々は、イスラム過激主義の凶暴さを過小評価し、ISISの台頭、カリフ国の樹立、大量の犠牲者を許した。「緑の革命」でイランの人々が体制に対して蜂起した際は、米国は影響力の行使をためらい、体制側は自由を愛するイラン人を殺害、投獄するなどした。イランの体制は勇気づけられ、イエメン、イラク、シリア、レバノンに影響力を拡大した。アサドが化学兵器を自国民に使用した際には、米国は非難しただけで力の行使を躊躇した。そして、いかなる犠牲も辞さずに平和を熱望し、我々の共通の敵であるイランと核合意を結んだ。

 我々は、これら全てのことから、米国が撤退するとしばしば混沌に見舞われるということを学んだ。我々が友邦を無視すると、怒りを掻き立てる。我々が敵と提携すると、敵は増長する。

 良いニュースがある。米国が自ら課した恥の時代は終わった。2年弱の間で、トランプ政権下の米国は、自らが中東のためになる勢力であると再認識した。

イラン攻撃

 トランプ大統領は、失敗した核合意から離脱した。米国は、解除されるべきではなかった制裁を再開した。我々は、イランの体制がテロと破壊を世界に広めるために用いる収入源を絶つべく、新たな圧力キャンペーンを開始した。

 我々は、イランの体制の革命的アジェンダに対抗する必要性につき、同盟国との間で共通理解を強化している。各国はアヤトラを甘やかすのではなく対抗しなければならないとの理解を深めている。世界中の国々が、イランの体制に対抗すべく、今までになく我々の側に集まっている。

 中東と世界に対するイランの邪悪な影響力と行動を止めさせるキャンペーンを緩めることはない。2月11日で、抑圧的体制がイランで権力の座について40年になる。米国の経済制裁は歴史上最強であり、イランが普通の国のように振る舞うまで、さらに強化される。イランの脅威が続いているため、5月に発表した12の要求(2018年6月12日付け本欄『米国からイランへ「12の要求」』http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13020 参照)は依然として有効だ。

参考:‘A Force for Good: America Reinvigorated in the Middle East’(米国務省HP、Jan 10, 2010)

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