2024年4月26日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年3月1日

2020年米大統領選挙の新たな意味

 トランプ大統領は記者会見で、「次の会談は約束をしていない」と述べました。20年米大統領選挙で再選を目指す同大統領は、北朝鮮の非核化を進展させなければ、ライバルの民主党候補から攻撃を受けることは間違いありません。

 以前述べましたが、同年秋に大統領候補テレビ討論会が始まるので、遅くともそのころまでに非核化において目に見える成果が出ないと、北朝鮮核問題がトランプ大統領にとってマイナス要因になる可能性が高まります。従って、金委員長との良好な関係の継続は不可欠です。

 記者会見でトランプ大統領は、交渉では「いつでも退室する準備はできている」と主張し、悪いディールをしなかった点を強調しました。しかし帰国すれば、議会民主党から2回目の米朝首脳会談は「大失敗だった」と批判されることは避けられません。

 米情報機関のトップであるダン・コーツ国家情報長官が2回目の米朝首脳会談の前に議会公聴会で、「北朝鮮は核兵器を放棄する公算は低い」と証言しました。正しくその通りになったわけです。

 ペロシ下院議長は今回の会談決裂について、「トランプ大統領は米情報機関を信頼するべきだ」とコメントを出しました。

 加えて、前で触れましたがコーエン被告の証言によりトランプ大統領は選挙資金法違反に問われます。ロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官の最終報告書で、トランプ大統領の選挙資金法違反が明記され、しかも20年大統領選挙で敗れた場合、起訴される可能性が出てきました。

 つまり、トランプ大統領にとって次の大統領選挙の意味がまったく変わってきたのです。

  
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