2024年12月23日(月)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年3月11日

 今回のテーマは、「米朝首脳会談後のトランプ支持率」です。2回目の米朝首脳会談はベトナムの首都ハノイで先月27、28両日に開催されました。以前記事の中で説明しましたが、ドナルド・トランプ米大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告の公聴会が27日に米議会で開催され、会談よりも高い関心を集めました。

 米国の有権者は、米朝首脳会談及びコーエン被告の議会証言をどのように捉えたのでしょうか。本稿では、最新の世論調査に基づいて分析します。

(Roman Tiraspolsky/Gettyimages)

真っ二つに分かれた米朝会談の見方

 米NBCニュースとウォール・ストリート・ジャーナル紙の共同世論調査(19年2月24-27日実施)によれば、トランプ大統領の支持率は46%でした。これまでの40%前後の支持率と比較しますと、上昇したことになります。

 ところが、「決裂」の結果となった米朝首脳会談後に行ったクイニピアック大学(米東部コネチカット州)の世論調査(同年3月1-4日実施)をみますと、確かに共和党支持者のトランプ大統領に対する支持率は82%と高いのですが、全体では38%まで低下しています。

 また同調査が、「米朝首脳会談は成功したか、失敗したか」尋ねたところ、「42%対42%」の結果になり、有権者の意見が真っ二つに分かれました。前のめりであったトランプ大統領が「悪い取引」を拒否した点を評価する声がある一方で、非核化に関して具体的な成果を何も出せなかったという批判もあります。

 トランプ大統領はワシントンを出発する前に、「北朝鮮がミサイルと核の実験をしないことも取引材料になる」と述べて、現状維持を示唆していました。昨年の米中間選挙においても支持者を集めた集会で、北朝鮮がミサイルと核の実験を中止している点を繰り返し強調し、成果としてきました。

 つまり、トランプ大統領は米朝首脳会談で「最低ライン」は確保できたという認識を持っています。

 ただ、クイニピアック大学の調査では、看過できない結果が出ています。「トランプ大統領の北朝鮮政策に対して、自信が持てますか」という質問に対して、42%が「はい」、52%が「いいえ」と回答している点です。

 昨年6月にシンガポールで開催された1回目の米朝首脳会談後に、同大学が実施した世論調査では同じ質問に、49%が「はい」、47%が「いいえ」と答えました。2回目の会談が物別れに終わった結果、「はい」と「いいえ」が逆転し、トランプ大統領の北朝鮮政策に不安を抱く有権者が5ポイント増えています。


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