2024年5月18日(土)

オモロイ社長、オモロイ会社

2020年1月7日

これからが本番デジタルトランスフォーメーション(DX)について

 カンタン、ラクチン、経験則からも、もう過去には戻れないーー。

 「ビジネスチャットツールの普及レベルについて総務省の発表とは、まだまだ肌感覚として広がっていないと感じています」と話す、山本社長。「本来的に活用できているレベルという意味では十数%レベルではないか」と言います。

 「これから80%〜90%近くのチャット等を活用したビジネスコミュニケーションがここ数年の内にこの国で一気に広がろうとしています。電話、FAX、メール、携帯メールと進歩してきたように、どんどんカンタン、ラクチンとなってきています。面倒なことに後戻りはすることはないという意味で、ビジネスチャットツールも主流になります」と山本さんは語ります。

 そもそも、デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation;以下 DX)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。 

 2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる 。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させるという意味合いで用いられる(ウィキペディアより)。

 「なぜ働き方改革? 生産性向上が声高になってきたか? それは日本の国力を上げることが必須であると解釈しているからです」と、山本社長。「日本人の仕事環境、本来業務に集中できなくなるほど忙しすぎる現況は、ますます悪化の一途となり、ここから数年で、人手不足倒産が顕著となってくるはずです。それがさらに日本の出生率にも確実に影響していると感じています」。

 これらのことが国力低下に影響を及ぼしているため、主婦層、高齢者層、在留外国人の労働力を活用しようとしていますが、もっとラクチンに生産性を上げられるもの、それが「DX」だということです。前述の通り、その中心にあるのが、ビジネスコミュニケーションツールなのです。

デバイスの変化、クラウド化への進化でようやく日本も変わろうとしている

 日本のクラウド化は米国と比較すると遅れていると山本社長は話します。日本ではパッケージが1割、受託開発が9割で、アメリカではパッケージが7割、 受託開発が3割と、日米がほぼ真逆の状況にあります。(※出典元:経済産業研究所「日本企業のソフトウエア選択と生産性」P4よりhttps://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/10j027.pdf

 パッケージソフトは、すでに出来上がった汎用のソフトウエアを売るものであり、言語の問題だけを解決すればそのまま世界中で売ることができます。一方、受託開発は、顧客の依頼に応じて、顧客専用のソフトウエアを設計し、作成するため、出来上がったソフトウエアはその顧客企業にしか売れません。

 この受託開発ソフトウェアは、「開発コストが高い」「維持に保守コストが必要」「商品力が低い」などの問題点があります。そこで、 高品質なソフトウェアを所有せずに、低コストて利用できる時代としてSaaSの登場です。

 SaaS(Software as a Service)とは、クラウドサービスの一種で、提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者がサービスとして利用する仕組みを指します。

 近年、このSaaSの普及が急速に進むとともに、SaaSビジネスを提供するスタートアップの上場も相次いでいるため、これからSaaSが伸びていくことが見込まれます。同時にクラウドの安心感も当たり前化しつつある実感があると話します。

 「もし、自社用のみにChatworkと同等のツールを自社構築すると数十億円掛かります。でも、我々は現状すぐに利用できる環境(SaaS)を提供しており、しかも1アカウント月400~800円からスタート。このような状況だと自社構築の世界への後戻りはしづらいのではないかと思います」

 加えて、デバイスの変化も大きく、パソコンからスマートフォン・タブレットの機器そのものが扱いやすくなっている上に、UI(ユーザーインターフェイス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)が使い勝手の良いものに、ある意味「成長」をとげてきており、非IT、高年層、主婦層と誰でもカンタン、すぐに活用レベルが上っていく。

 「日本も紙とハンコの文化をから脱却し、国内DXが本格化していくこの3年が勝負ですね」と山本さん。

最近の動向と今後の展開について

 ここ最近関連サービスをリリースしているChatwork社。チャットツールという「ビジネスインフラ」にツール利用企業向けにプラットフォームビジネスを展開し始めています。

 2019年12月5日には、中小企業の資金繰りの課題にアプローチする、「Chatwork早期入金」をスタート。『野村證券を卒業し、新しい金融サービスを作った男』で、紹介しらクラウドファクタリング提供するOLTAとの業務提携により、開始したものです。

 この提携に関して、OLTA株式会社の澤岻社長は次のように述べています。

 「OLTAが提供するクラウドファクタリングは、サービス開始から2年で累計申込金額は150億円超と、少しずつですが中小企業のユーザー様への利用が拡がってきています。今般、中小企業や士業の方々に利用されているChatwork様との連携によって、クラウドファクタリングの認知獲得および利用促進がさらに加速できると確信しています」

 関連サービスの多様化も進んでいくなかで、今後の展開、世界観について山本社長は、

 「チャットは会話がデジタルデータになっているもの。ツールとしてのChatworkは、社外とのコミュニケーションがシームレスに運用し易い設計となっていることから、コミュニケーションデータでマッチング、信用性担保からChatworkユーザー内でのある種『経済圏』の創造につながると想定しています。チャットを開けるだけで、仕事が完結する、生産性、効率化が図れるという時代へと。同社のチャット上でやりとりされるメッセージの数は月間4億(2019年4月現在)を超えています。このこのコミュニケーションデータは、企業内外、個人間の関係性やチーム・個人のコンデイションも把握が可能となります。監視にならずに組織エンゲージ、個人のネガポジの判断・分析というHRTech領域も視野に入っています」

 「今まで、販売訴求に注力してきた業種は、主に3業種、士業(クライアントの適時相談)、介護(事業所管理、利用者とのコミュニケーション)、建設(下請けを含めた図面・現場情報の共有、管理)この業界に展開してきました。今後については、製造業(オフィス・工場・仕入れ・販売先とのやり取り)、小売(店舗間、仕入れ先とのやり取り)、医療(病院内でのやり取り)と日本のデジタルトランスフォーメーション進化にビジネスチャットで役立ちたい」と意気込みます。

 事業の中心、柱はあくまでコミュニケーションインフラとなるビジネスチャットであるChatworkであると話す山本社長、欧米に遅れるこのビジネスツールが加速度的に進化するキッカケは東京オリンピック開催中の「テレワーク」と見ています。時代の流れを読み解き、この機会を大いに利用し、Chatworkユーザー拡大にアクセルを踏もうとしいるChatwork社の成長を期待したいと思います。

  
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