2024年5月17日(金)

Wedge REPORT

2019年12月27日

 今年もあとわずかとなりましたが、2019年は「老後2000万円問題」が注目をあびたことから、「資産運用」を意識した人も多かった年ではなかったでしょうか。

 「資産運用」と一言でいっても、株式や投資信託、不動産投資など様々な種類があります。自分がどの投資に向いているかは、その人がとれるリスク許容度により変わってきます。自分の返済力以上に借金をして不動産投資をはじめてしまうことは無謀ですし、大きなリターンを狙いたい人が投資信託を行うのも違和感を感じます。私は不動産投資ローンのコンサルタントとして、これまで数多くの不動産投資家と接してきました。今回は「サラリーマンが不動産投資で資産運用すること」のメリットとデメリットを、他の投資法と比較しながらお伝えします。

(SvetaZi/gettyimages)

不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」

 不動産投資と聞くと「巨額のお金が必要」「不動産が暴落して破産する」と、身構えてしまう方も多いかと思いますが、準備・計画性を持って始めれば意外にも「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資に分類されます。

 「株式」や「FX」に比べるとリスクは低く、「投資信託」や「ロボアドバイザー」に比べるとリターンは大きくなります。なぜミドルリスク・ミドルリターンになるのか、その答えは「価格変動の傾向」と「収入の安定性」にあります。

 株式やFXでは、企業業績や為替相場が予想に反して下落した場合、下手をすると一瞬で大損をしてしまいます。東芝を例にとってみると、2016年11月には1株4289円の高値をつけていた株価が、その翌月には減損損失計上の可能性から2320円まで落ち込む場面がありました。11月の高値で100株購入したとすると単純計算で約43万円が取得にかかったことになり、1カ月後の安値で売ったとすると約23万円でしか売れないことになります。1カ月で20万円のマイナスです。もちろん株価は上下するので回復を待つことにより再度上昇を狙うことはできますが、こればかりは個人の力ではどうしようもできず正確な予測を立てることも難しいでしょう。

 一方、不動産投資では不動産自体の価格変動はゆるやかという特徴があります。数十年先を見据えると資産価値が大幅に下落する可能性はありますが、1カ月や1年で買値の半額などの大幅な下落に見舞われることはまずありません。もちろん自然災害など人間では予測できないリスクもありますが、総合的に見ても株式やFXに比べてリスクは低いと言えるでしょう。

 また、不動産投資がミドルリターンと言われる所以は「毎月の家賃収入」にあります。株式やFXでの収入は配当金や売却益にあたり、投資先の業績や相場が向上した場合は数十倍ものリターンを得られる可能性があります。しかし、これは決して安定したものではなく、運要素も大きいと言えます。

 一方、不動産投資では入居者がいれさえすれば「家賃」という形で毎月収入を得ることができます。株式やFXに比べ、安定した収入を得ることができるのです。加えて、不動産を売却する際には購入時よりも高い値段で売ることにより、売却益を狙うこともできます。投資金額も数千万円単位であることが多いため、売却益も大きく上乗せできる可能性があります。

サラリーマン最大の武器「銀行融資」が使える

 その他にも、不動産投資にはある変わった特徴があります。それは「銀行からの融資が受けられる」点です。銀行からお金を借りて自分の資産を拡大できる、他にはない面白い投資法とも言えます。サラリーマンの方であれば、不動産購入資金を全額ローンで賄うフルローンを利用することにより、自己資金は出さずに投資をするということも可能になります。

 株式や投資信託などでも、カードローンで借りたお金を元手にすることはできますが、不動産投資ローンと比べると金利が圧倒的に異なってきます。カードローンの場合は、年利8~14%ほどが相場になり、借りられる金額もどんなに属性が良い方でも500万円程度が限界です。

 一方、不動産投資ローンの場合は、年利1~4%で年収の約8~10倍を借りることができます。年収600万円のサラリーマンであれば、総額4800~6000万を借りることができる計算になります。自営業の方でも不動産投資ローンを利用することは可能ですが、年利が通常より高くなったり条件が悪くなったりと、どうしてもサラリーマンの方に比べると融資条件は悪くなります。

 私がコンサルタントを勤めている「モゲチェック不動産投資」では、主にサラリーマンの方の不動産投資ローンの借り入れ可能額診断、適正金利の推定を行なっています。現在であれば、平均の借り入れ金利は大体2%程度です。ローンを借入れる際の参考にしてみてください。

不動産投資ローンには「生命保険」がついてくる

 もう一つ、他の投資法にはない特徴として、ローンを組んだ際に付随される「団体信用生命保険」があります。団体生命信用保険とは、ローン返済中にローン契約者が死亡・高度障害などの返済が困難な状況に陥った場合、残りのローンがすべて免除される制度です(各社により規定があります)。不動産投資ローンを組む場合には、加入しなければならないことが多く、万が一自分に何か起こった場合でも、現物である「不動産」という資産は家族に残ることとなります。不動産投資ローンを組むことで、生命保険の内容をカバーできると考えることができます。


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