東京で世界ウイグル会議代表者大会が開会する日、北京では、日中韓首脳会談が行なわれていたが、さっそく中国政府が、野田―胡錦濤会談をキャンセルする、という挙に出、日本側への「圧力」を強める姿勢を見せた。結果、ラビア総裁らの大会の日本開催は、内外のメディアに大きく取り上げられ、日本の世論をも大いに刺激することにはつながった。
「北京が怒れば怒るほど、われわれの問題に日本人と世界が注目してくれた。皮肉なことではありますが、これは大きな成果だと見ています」
日本、日本人との連帯への決意
ラビア総裁は続ける。「今、中国政府が、日本政府や日本の国会議員に対し、世界ウイグル会議を開かせたことへの抗議などを行なっています。これは明らかに日本に対する内政干渉ですよね。私たちはこれまで、米国やヨーロッパでも会議を開いてきましたが、今回の日本に対してのような激しい反応はなかった。なぜこうまで反応するのか? それはおそらく、中国政府が、ウイグル人と日本人が連帯することを恐れているせいだと思います。日本のような、力のある、しかも中国に近い国の国民の多くがウイグルの問題に気付き、中国に対し何かを言い出したら困るということなのでしょう」
筆者がここで思い起こしたのは、ラビア総裁の実の息子2人が今も獄中にある、という事実である。総裁自身も投獄された経験があるので、中国の刑務所がいかに恐ろしいところであるかは身にしみてわかっているはずだ。今回の北京の「激しい反応」の矛先はそのまま、総裁の息子らへと向かうのではないか?
「中国政府の激しい反応を見ても、私がここで怯むことはありません。むしろ今回の状況を見てはっきりと決意し直しました。今後、皆さん(日本人)との連帯をいっそう強めていきたい、と。日本における活動を強化することはもちろんのこと、世界中の日本人コミュニティとの連帯を強めていきたいと考えています」
とラビア総裁は言い切り、冷静な表情のままさらに続ける。
「2009年のウルムチ事件の後、中国当局は獄中にある私の息子のみならず、孫までもテレビに引っ張り出して、『私の母(祖母)は悪い人だ』と言わせるというようなことをやりました。彼らがどういうことをやるか、はもうわかっています」
獄中の息子に当局から圧力も?
インタビューから約1週間後、「中国当局が、獄中にあるラビア総裁の息子らに対する圧力を強めている」との情報が流れた。「もうわかっている」とはいえ、こういう情報に接したときの、一人の母としての心情はいかばかりか?