ウォールストリート・ジャーナル5月24日付でAEIのMichael Auslinが、欧州と米国はアジアにおいて政治・軍事分野でも協力すべきだ、と論じています。
すなわち、経済成長著しいアジア地域を「重視」する政策を打ち出しているのは米国だけではない。先月、日本、東南アジアを歴訪したキャメロン英首相など、一部の欧州指導者もアジアに注目し始めている。
もっとも、欧州のアジア政策は経済・貿易に限るべきではなく、米国と協力して政治や軍事の分野にも広げていくべきだ。
アジア諸国は米国の「アジア回帰」政策を歓迎してはいるが、それが現実に何をもたらすかについては疑念を抱いている。従って、米国が欧州のアジアへの新たな関心を後押しして、欧州の軍事力をアジアに回帰させるのは理に適っている。
具体的には、欧州は、例えばベトナム、フィリピン、マレーシアなどの海軍・空軍を支援したり、各国軍隊の人権教育などを行なえる。これらは、将来の強力な政治的関係につながるだろう。また、草の根活動、学生交流、シンクタンクなど、社会面でも欧州がアジアで協力できる分野がある。
これまで欧州はアジアを米国に任せてきたが、このようにアジアでも欧州が協力できる分野は少なくなく、オバマ政権はこうした動きを奨励すべきだ、と言っています。
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これは、米国のアジア回帰政策が注目される中で、欧州のアジア回帰、特に政治軍事面でのアジア重視政策の重要性を指摘した興味深い論説です。今後、米国の国防費がさらに削減される可能性があるため、欧州の「アジア協力」の有用性はこれから益々高まるでしょう。
ただ、問題がない訳ではありません。米国が欧州の政治力・軍事力を米国のアジア太平洋政策の中で活用しようとすることは、間違いではありませんが、欧州のアジアに関する関心は、あくまで「貿易・経済」にあり、「安全保障」でないことに注意する必要があります。