AEI日本部長のマイケル・オースリンが、6月18日付ウォール・ストリート・ジャーナルのオピニオン欄で、中国経済は過去20年間平均して年率10.4%という高成長で伸びてきたが、いまや、中国共産党支配そのものが行き詰まりを見せており、中国社会に蔓延する共産党への不信感、諦めは、将来、天安門事件のような事態を引き起こす可能性を排除しえない、と述べています。
すなわち、天安門事件の数年後から始まった経済改革路線の結果、中国経済は20年間にわたり、年率10.4%で伸びた。しかし、容易な時代はすでに終わりを告げた。今日では、これまでの20年間に見られなかったようないくつかの難題が立ちはだかっている。それらは、経済の悪化をもたらし、党そのものが崩壊する可能性を含んでいる。
中小企業よりも国有企業を優遇するという方針を政府がとった結果、公共投資などを行う地方政府の財政は膨れ上がり、雇用のエンジンともいうべき中小企業は停滞した。政府は成長率目標を本年は7.5%に下げざるを得なかった。
人件費は上がり、労働力は沿海地域で不足している。一人っ子政策の結果、中国の人口は急速に老齢化しており、それは長期にわたり、生産を鈍らせるだろう。
今日の共産党支配は少数の人々にのみ利益をもたらすものであり、システム全体の限界を示している。薄煕来事件は人々がうすうす気づいていたことを白日の下に晒し、人々を幻滅させた。つまり、共産党支配と言うシステムからの大きな利益は、役人たちによる、やくざまがいの縄張り争いの対象になっていることが暴露された。
中産階級の人々は、将来に悲観的になり、政府に対し、より懐疑的になり、自分の立場を守ることに必死になっている。
もしこれらの不信感が大きなものになれば、天安門事件のような政治的反応を呼び起こす可能性も排除できない。より急進的な都市住民たちが、年間18万件にのぼると言われる集団抗議活動を行っている農村住民たちと手を組む可能性も否定できない。
共産党は、そのような動きに対しては、大衆弾圧を強めるだろう。そうなれば、さらなる国内上の不安定を生み出すだろう。