ロシアのCIS外交の鍵を握り続けるグルジア
しかし、この一連の動きは、グルジア紛争に関する国際社会の評価にも影響するのは間違いない。EUをはじめとした国際社会は、同紛争は、グルジア側の先制攻撃によって発生したと評価をしていたが、今回のプーチンの発言によれば、ロシアはずっと前から攻撃の準備をしていたこととなり、グルジア側が主張していた「南オセチア/ロシア側からの挑発があった」から攻撃をしたという議論のほうが正統性を持つことになる。今回のビデオやそれに関する首脳陣の主張が正しいのであれば、グルジア紛争の評価も今一度やり直さなければならないかもしれない。
ともあれ、グルジア紛争がまだ終わっていないことは今度の騒動でも明らかになったといえるだろう。本紛争はアブハジアと南オセチアの地位問題が明確になっていないこともあり(ロシアは国家承認し、事実上の「ロシア化」を進めているが、グルジアは決してそれを認めていない)、実質的にも未だ解決したとはいえない。
既述のように、ロシアは、WTO加盟については、何とかグルジアを説き伏せて果たせたとはいえ、プーチン氏が掲げる旧ソ連空間をよみがえらせるような「ユーラシア連合」はグルジアの存在により、完全な形ではなしえないこともあり、グルジアに対する怒りは募る。
また来る10月1日のグルジアの議会選挙でも、ロシアとパイプを持つといわれる富豪のイヴァニシヴィリが一石を投じる可能性が高いとも見られており、ロシアもグルジアも、お互いの影響を受け続けているといえる。今後の両国の内政、外交の動向を共に注視していく必要があるだろう。
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