AEI日本研究部長のオースリンが、7月27日付のナショナル・レビュー・オンラインに、「北京はその侵略的意図を証明した」と題する論説を寄稿して、中国による三沙市の樹立と永興島への守備隊配備を非難すると共に、米は何らかの対応をすべしと論じています。
すなわち、専門家は中国の軍事力増強が太平洋の安定への脅威かどうか、論争してきた。しかし中国が実際に国境の変更、船舶航行妨害などをしないので、論争は学術的なものにとどまっていた。
しかし今や軍事力で領土主張を行うという中国の意図についての証明を我々は得た。
中国は南シナ海の諸島と水域を管理する市政府を樹立し、市長を選んだ。それ以上に重要なのは、ベトナムも領有を主張している永興島に「自衛のために」守備隊を置くとの決定をしたことだ。これは状況を変える決定であり、力の政治を可能性ではなく現実のものにする。小国は中国の主張に対抗し続けうるか否かを決めるように強制される。もし中国の主張が他国に受け入れられれば、これはアジアでの中国の覇権と力に基づく地域政治の規範の始まりを示すだろう。
北京の発表でワシントンは大きな圧力を感じるべきだ。静かな外交の時期と、明確に譲歩の限界を示すべき時期がある。今回の発表は開戦の理由にはならないが、見逃がすわけにも行かない。守備隊は一つから二つになり、今後拡大されるのは確実だ。
米は中国に対し、今のようなことが続けば、東南アジア諸国への軍事支援強化、米中軍事交流の終結、中国への輸出制限緩和の拒否などの対応をせざるを得ない、と明確に言うべきだ。
「張子の竜」の騒ぎとして何もしないでいると、中国が支配する南シナ海に直面することになり、更に中国と近隣諸国の紛争に巻き込まれることになる。もし中国との対決を避けて引くことになれば、アジアでの米国の影響力の終わりになりかねない、と論じています。
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オースリンが中国による三沙市樹立と永興島への守備隊配備に危機感を覚えて、今の時点で中国に対抗する必要を説いた論説で、おおむね的を射ています。