Wedge REPORT

2012年8月28日

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 電力供給全体の3割を担ってきた原発をゼロにするのなら、代替するのは火力発電である。脱原発を主張する人の多くは再生可能エネルギーに期待するが、再エネが基幹電源に育つかどうかは不透明だ。

 繰り返すが、鳩山目標を達成するために無理やり作ったエネルギー基本計画でも再エネ比率は2割に満たなかったのに、原発ゼロシナリオでは35%も見込んでいる。この差を埋めるものは単に「気合」だ。太陽光発電で言えば、新築はおろか、既存も含めて、設置可能な住居「すべて」の屋根に導入し、さらに、「堅牢度に劣る(=パネルを載せたら潰れる屋根、筆者注)住宅に設置するため、固定買取価格をさらに高水準に」(国家戦略室資料)する。自力では太陽光を設置できない家庭の分を他の誰かの負担で補って、設置可能な「すべて」の屋根にいきわたるまで負担を増やすというわけだ。さらに、太陽光パネルは20年程度で更新が必要だ。それも誰かの負担で行うのだ。この重い国民負担を受け入れられるのだろうか。

原発ゼロは火力依存

 しかも、これはできたとしても2030年段階の話であって、当面再エネはまったく役に立たない。現在起きているように、化石燃料を燃やしに燃やして、二酸化炭素の排出量を増やし、燃料費として国富を毎年約4兆円も流出させることが、原発ゼロの実態である。

 原発ゼロは、経済を悪くする。二酸化炭素を減らすことも難しくなるから環境にも悪い。少なくとも25%削減目標は撤回せざるを得ない。化石燃料への依存度が高まるから、産出国で戦争でもあれば途絶するリスクも高まる。それでも原発をゼロにしたいですか? ならば応分の負担はしてくれるということですね? そう国民に率直に問うことが、政治家の責任ではないか。次の総選挙で、安易に脱原発を掲げる政党には、その現実性を質さなければならない。

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