世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月29日

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 9月11日付仏Le Monde紙(電子版)は、中国で取材にあたったSylvie Kauffmann記者の「中国幹部が恐れるインターネットの恐怖」と題する記事を掲載しました。以下、その内容を紹介します。

 すなわち、中国の地方の幹部達が、毎朝、最初にすることは、中国版のTwitter “Weibo”を見て、自分達が載っていないかチェックすることである。同時に、Weiboの使用者3億5千万人のうちの多くが、毎朝、Weiboを見て、誰の、何が書かれているかをチェックする。フェラーリを乗り回して交通事故を起こしたのは誰か。毎回違う高価な腕時計をしているのは誰か。3億5千万人の「サイバー市民」が監視する。この野放しの透明性は、地方の政治家達にとって恐怖になっている。真実であろうとなかろうと、ネット上に流れる噂が、彼らを悩殺する。

 Weiboが中国世論と地方の権力者との戦場になっているのに対し、中央権力の沈黙の壁は厚い。中国人達がネット上で様々な書き込みをしている間にも、中国共産党の中枢は、完全なる闇の中で、第18回党大会の準備をしている。この党大会は、決定的意味を持つ。常務委員会(総書記、首相を含め9人)及び政治局(25人)の殆どの委員が交替する。この党幹部の交替は10年毎に行なわれる。13億人の中国人、そして世界にとっても重大な、この出来事に関しては、正確な手続きも、委員の候補者名も分からない。わかっているのは、2人の名前、習近平(次期総書記)と李克強(次期首相)のみである。そして、二つの大きな謎も残る。一つは、薄煕来事件の真相である。そして、もう一つが、9月上旬の習近平の行方不明事件である。 

 これらに関しては何もWeiboにも載っていない。透明性には限界がある。特に、中国ではそうである。江沢民など元首脳も含め、共産党中枢幹部の氏名を記したメッセージは、すぐにブロックされる。実際、中国の権力中枢では、インターネットを管理するため、大がかりな対策が講じられている。全てのサーバーは北京に集中し、検閲やブロックなどインターネットの管理がしやすくなっている。地方の幹部は、ネットを管理していないので、ネット市民の恐怖にさらされているが、中央の幹部は、サーバーを管理しているので、ネット上の闘いでは常に勝つ。それも管理の仕方が洗練されている。ソーシャル・ネットワークに安全弁の役割を与え、国民の不満の高まりを調節する。そして、インターネットは、権力にとって貴重な情報手段でもある。常に、国民の熱気を計ってくれるし、テーマを選択して批評を書かせたり、ある主題はブロックしたり、また別の主題は意図的に流したり出来る。中国のブロガーは、「戦場を爆破してしまうより、占拠してしまうことが重要である。」と言う。

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