反日デモの次は?
両国政府のトップは世界の外交の歴史で領土問題が解決したことなど一度もないことは知っているはずだし、かつて鄧小平老がいったように「解決不可能な問題はまず棚上げにして、出来ることから解決していく」のがそもそも東洋人の知恵である。
福建省の友人たちは冷静で、意外な反応が返ってきた。「厦門から台湾の金門島までは毎日10便のフェリーが片道1時間強で往復していますが、台湾問題を気にしている福建人なんていません。同じように本気で日本に敵対する中国人なんていないと思いますよ」というのである。
今回の反日デモの裏側では、若い学生たちを中心に政府から100元(約1230円)を貰ってデモに参加しているという。また、ネットに政府寄りの書き込みをすると「5毛が課金される」仕組みまであると聞いた。なぜ中国政府はここまでやるのかといえば、焦りの裏返しだ。今の中国は、経済も不安定で政治への不満は高まっている。
結婚式の後は厦門の海岸に並ぶリゾートホテルに泊まった。米国風に真似た高級ホテルは若い家族連れでにぎわっていた。だが、中国では0・1%の富裕層が全個人資産の4割を占めている。強烈な格差で、社会主義とは名ばかりだ。
大学を卒業した若者は就職先がなく、都会に溢れかえっている。こうした若者にとって暴走する理由は何でもよく、反日の次は政府批判、民主化運動などがターゲットになるかもしれない。
日中韓の民間ベースで友好的な交流は止まることはない。古典的手法で国家間の緊張を演出しようとする一部の似非愛国主義者やメディアはもはや、流行らない時代になっていると信じたいものである。
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