2024年5月19日(日)

オトナの教養 週末の一冊

2021年10月1日

不幸な時代に遭遇してしまった世代を社会全体でサポート

 記者も1978年生まれで、まさに就職氷河期世代だ。振り返ってみると、「社会」というものに目を向けるようになってから、景気がよかったことがない。ただ、「バブル崩壊」というと、いつだったのか、記憶としてはっきりしない。日経平均株価が最高値を記録したのは、89年12月なので、90年からバブル崩壊と言ってもよさそうだが、地価の下落が始まった91年からという説もある。

 きわどい衣装をまとった人たちが踊っていた「ジュリアナ東京」。しかし、このジュリアナ東京が誕生したのが、91年5月。まだ、世の中はバブル気分だったのではないだろうか。一方で、ジュリアナ東京が閉まったのが94年8月。

 やはり、この頃が実感としてバブルが崩壊した時期なのかもしれない。実際、大卒の就職率で見ると、90年に81%だったところから、94年には70.5%、95年には67.1%まで落ち込んでいる。このとき、高校2年生。父親から「お前が大学を卒業するころには景気もよくなっているだろう」と言われたことを覚えている。

 しかし、そのアテは外れ、93年から04年あたりの世代が、就職氷河期世代、いわゆる「ロスジェネ」と呼ばれるようになった。

 生まれた時代によって、人生が左右されるのは、何もロスジェネ世代だけではない。祖父母の世代は、戦争に駆り出されて、家族や友人を失っている。ただ、戦後、不幸な若者を励ます目的で誕生したのが「成人式」だったように、不幸な時代に遭遇してしまった世代を社会全体でサポートしていくことが必要だ。

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