経済の常識 VS 政策の非常識

2013年2月25日

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 衆議院議員総選挙は自民党の圧勝で終わったが、選挙が終わっても日本を取り巻く問題が終わる訳ではない。中国の力は強まり、安全保障上の問題も大きくなる。安全保障について素人談義をしようと思わないが、防衛費の増額が必要であれば、それはただでさえ苦しい財政をますます苦しくさせる。

 中国の発展に便乗して輸出や直接投資を伸ばすことにリスクが伴うとなれば、日本経済の制約となる。社会保障支出はますます増大して行き詰まる。消費税を5%ばかり上げたところでどうしようもない。社会保障支出以外の支出を考えても財政は大赤字である。

 ところが、どの政党も具体的な財政再建案がなかった。考えてみれば不思議である。あれだけ大騒ぎして消費税の引き上げを導入したのは、日本をギリシャのようにしてはいけないということにあったのではないか。

 財政が大赤字ではいつか金利が高騰し、借金の利子が払えなくなって財政を緊縮しなければならなくなる。年金も医療も介護も大幅に緊縮するしかない。そのようなことのないように、今、消費税を引き上げて将来に備えるという話だったのに、消費税を実際に上げる前から、今の高齢者のための社会保障給付費を増やしてしまった。

 社会保障給付費は最初の安倍晋三政権時の2006年の89.1兆円から2010年の103.5兆円までで14.4兆円も増えている(国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」、最新ではもっと増えているはずである)。これでは財政赤字は減らないし、将来世代の負担も減らない。

リカードと官僚どっちが正しい?

 日本が解決しなければならない問題は財政赤字だけではないが、ここでは財政再建だけについて考えてみたい。

 もちろん、「財政赤字は問題ではない、財政赤字を心配するのは財務省の陰謀である」という議論もある。確かに、偉大な経済学者リカードは、政府が財政赤字を拡大することは将来の増税を意味しているのだから、現在、人々は将来の増税に備えて貯蓄をする、だから、現在の貯蓄と投資が減って将来世代を貧しくすることはないと言った。

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