経済の常識 VS 政策の非常識

2013年2月25日

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 私は、財務官僚よりもリカードの知性を信頼しているので、この説がかなり正しいと思う。そうでなければ、これだけ巨額の政府債務を抱えながら金利がこれほどまでに低いのは理解できない。政府が国債を発行してお金を集めているとは、国民の貯蓄を使っているということである。政府が国民の貯蓄をこれだけ大胆に使っていながら金利が低いのは、国民が貯蓄を増やしているからだとしか考えられない。

 しかし、日本の政府債務は巨額である。政府の債務から政府保有の金融資産を除いた純政府債務残高の対名目GDP比で見ても12年で134.1%であり、日本より酷いのはギリシャだけである(IMF「World Economic Outlook Database」)。

 しかも、これが低下する兆しが見えない。世界金融危機が始まる前の07年には80.5%だったから、毎年10.7%ずつ、10年で107.2%ずつ上昇することになる。これが続くと、10年後には241.3%に、20年後には348.5%になる。無理やり低下させる必要はないが、徐々に低下させることは必要だろう。

長期政権でなければ財政再建はできない

 安倍新内閣はこれにどう対応するのだろうか。安倍総理の最初の対応は、大胆な金融緩和である。これは明らかに効果がある。少なからぬ日銀官僚、経済学者、エコノミスト、マスコミが、「効果がない、副作用がある」と腐していたが、それらの言説が誤りであることが事実によって証明されるだろう。

 金融緩和によってお金を増やせば、必ず物価が上がり、名目GDPも増加する。いくら緩和しても貸出が増えないから景気は良くならないという主張は誤りである。金融緩和の効果は貸出を通じてのものだけではない。金融緩和によって為替が下がる。輸出企業が復活し、リストラを取りやめる。賃金の総収入が上がるのだから消費が増える。地場の産業にもお金が落ちる。

 この過程で税収が上がる。景気回復の初期には、名目GDPが1%増えると税収は2%以上増加する。07年度の名目GDPは513.8兆円で一般会計税収は51兆円だった。12年度ではGDPはエコノミストの平均予測で474兆円で税収は42.3兆円だった。GDPが7.6%減って、税収はその倍以上の17.1%も減っている。逆にいえば、名目GDPが7.6%増えれば税収は17・1%伸びることになる。

 安倍総理は、2%のインフレ目標政策を実施する訳だから、実質GDPの成長率が1%でも、名目GDPは年に3%上昇し、3年以内に510・8兆円に到達する。その時、一般会計税収は51兆円になっているだろう。

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