世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月11日

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 米タフツ大学のダニエル・ドレズナー(Daniel W. Drezner)教授が、フォーリンアフェアーズ1-2月号掲載の論文で、外交問題では共和党は常に民主党に対して優位を誇っていたが、イラク戦以降その優位は失われており、共和党はこの問題に真剣に立ち向かうべきである、と論じています。

 すなわち、2012年の選挙において、外交問題は民主党にとって特に追い風ではなかった。アフガン撤退が期待通り実施できないことは明らかであり、イランの核開発について、米国とイスラエルの間の意見調整も出来ていない。アジア回帰も、日中間の緊張を座視しているだけで、行動を伴わない言葉だけになっていた。

 にもかかわらず、大統領選における各種世論調査では、外交安保の問題では、ロムニーよりも、オバマ支持の方が多かった。それは、外交安保問題については、共和党の方が信頼できるという何十年も続いた優位が失われたことを意味する。

 冷戦時代、アイゼンハワー、ニクソン、レーガンは、明らかな反共であったが、彼らは、その大戦略を戦術的柔軟さを以て実施した。しかし、9.11以降は、対テロ戦争だけが関心事となり、それも軍事的アプローチに偏ってしまった。

 共和党は、右派的政策だけに依存せず、複雑な国際情勢に真面目に取り組むべきである。1950年代以来の共和党大統領は、民主党の大統領に比べてタカ派ではあったが、アメリカ例外主義とレアルポリティークを巧みに組み合わせた。その遺産は偉大であり、ブッシュとゴアの選挙戦の世論調査のころは、まだ共和党の外交の方が信頼されていた。

 ところが、ブッシュ(子)前大統領が、その共和党の財産を失ってしまったのである。9.11以後、ネオコンなどの支持の下に、アフガン、イラク政権を倒すまでは成功だったように見えた。しかし、その後、「悪の枢軸」などと言って、バラバラの相手を、まとめて反米の脅威にしてしまった。そうするうちに、イラク、アフガニスタンで泥沼に入ってしまった。

 2008年の大統領候補マケインは、ブッシュの政策から離れようとはせず、更に、その代替選択肢がペイリンとなって、共和党の外交政策はますます混迷した。

 2012年の選挙はひどかった。共和党の政治家たちの無知な発言は、世間の嘲笑を買った。ロムニーの発言はそれほどひどくはなかったが、それでも戦略的な内容の無い政治的発言ばかりだった。2012年の選挙時の共和党は最低だった。当時バイデン副大統領は、共和党の大統領候補たちは、外交安保問題を論じる最低の要件を満たしていない、と批判した。

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