世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月18日

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 在北京清華大学講師のジョナサン・レヴィン(Jonathan Levine)が、1月17日付National Interest誌ウェブサイトで、鄧小平は独裁的権力を振るって経済改革を達成したが、次の目標である政治改革を行うには、鄧小平のような強力な権力を持った人間がおらず、改革の目標は遠ざかっている、と述べています。

 すなわち、鄧小平は、そのカリスマと独裁権力を振るって、党内の保守派の反対を押し切って、改革開放を進めた。しかし、その後を継ぐような人物が居ない。

 中国の改革は、過去の皇帝はじめ、蒋介石、毛沢東、鄧小平など独裁的権力者の下で行われた。リシュリュー(17世紀フランスのルイ13世の宰相)には、「影の枢機卿」( Eminence Gris)と呼ばれた、フランソワ・ルクレール・デュ・トランブレーが居たが、習近平の背後には、過去の中央委員会全員を含む何十人もの「影の枢機卿」が居て、そのコンセンサスに従わねばならない。

 今や中国では、初めの三十年間の貧困の中の平等は、強欲と金権にとって代わられた。民主的な国ならば、デモも起こり、改革も必要になるが、中国では、厳しい統制の下で、現体制が維持されている。

 政治的改革はいつ行われるのであろうか。時が経つにつれて、早すぎた改革の弊害よりも、遅すぎた改革の弊害の方が大きくなりつつある。そして、中国の民衆は、改革の遅れは、中国がまだその段階に達していないというよりも、中国共産党がまだそれに達していないと感じつつある。

 2003年の記者会見で、朱鎔基は、党の民主化について、「早ければ早いほど良い」と答えたが、それから10年経った。経済改革は成功したが、政治改革はまだ前途道遠しの感がある、と論じています。

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 筆者がいかなる人物か詳らかにしませんが、この論説を見ても、よく勉強している中国専門家であるということは分かります。ただ、経済改革の次は民主的政治改革が来なければならないという、冷戦が終わり、鄧小平の改革開放時代が訪れた、90年代、00年代の問題意識をそのまま持っている人のようです。

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