チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年4月12日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

 3月22日から30日まで、ロシアを皮切りにアフリカ3カ国を回って帰った習近平国家主席の初の外遊では、「中国の新しい姿を世界に発信できた」と各メディアが絶賛。ちょっとしたフィーバーぶりが話題となった。

ニュースの視聴率を跳ね上げた
習近平が彭麗媛夫人を伴った映像

 北京のメディア関係者が語る。

 「われわれメディアにとって嬉しい誤算があったんです。特にテレビですが、ニュースの視聴率が突然跳ね上がりました。その理由は、彭麗媛夫人の存在です。彼女の華やかさが中国人のプライドをくすぐったようなのです」

 旧社会主義国や第三世界との関係を重視する中国にとって、外国訪問や外国の要人の訪中のニュースは一般に不人気である。中国人にとって馴染みの薄い国や暗いイメージの国が舞台になるからで、画面の絵面もどうしても地味になってしまうからだ。

 ところが、今回に限っては少し様子が違っていたというのだ。

 「2007年にも胡錦濤国家主席は再選後初の訪問先としてアフリカを選びました。この時の地味なニュースの扱いからすれば一変したといっても過言ではない。とにかく最初の訪問地で習主席が夫人と腕を組んでタラップを降りてきたときから印象は違いました。やはり絵になるなあと」

 「その効果がはっきりと表れたのが孤児たちの寄宿学校を訪問したときです。華やかな夫人が子供たちに『私は中国の多くの母親の代表としてみなさんに会いに来ました』と語りかけ囲まれる映像を見れば、これがいままで最も中国に欠けていた部分だと分かったはずです」

西欧諸国にも劣らないファーストレディー外交

 「欠けていたものとは、具体的には余裕であったり、柔らかさであったりするのでしょう。前駐露大使の劉古昌もわざわざメディアにコメントを寄せ、『彭夫人が同行したことで習主席の初の外遊に彩りが添えられた』と絶賛したほどでしたから。外遊のニュースの視聴率が上がったのは、中国もやっとアメリカ大統領夫人にも劣らないファーストレディー外交ができるようになったという国民の誇らしい気持ちが反映されたからかもしれません」(同前)

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