2024年5月12日(日)

田部康喜のTV読本

2022年7月10日

 社内で孤立していた、徹生につきまとうようになるのが、ガードマンの佐伯(阿部サダヲ)だった。きっかけは、佐伯がハトを蹴り殺しているのを見た、徹生が注意したことに始まる。

 雨のなか、マイカーで帰宅しようとしていた徹生の助手席に、佐伯がいつの間にか滑り込んですわっている。フロントガラスを打つ雨音と、社内を交互に映し出して、徹生と佐伯の対立が先鋭化していく。

 「あなたの幸せを分けてくださいよ。わたしの遺伝子と奥さんの遺伝子を結合させてくださいよ」

 舞台や映画、ドラマの世界でさまざま役をこなしている、阿部サダヲの演技は狂気迫る。

 徹生は、佐伯(阿部サダヲ)の首を強く絞め始める。死ぬ前の記憶の最後はここまでである。復生者となって、社会に戻ったいまも、両手に佐伯を絞めた感覚が残っていて、震えがくる。

妻に迫る阿部サダヲの怪演

 第2回(7月4日)に至って、佐伯の死後、妻の千佳(鈴木杏)が佐伯と接触していたことが明かされる。千佳は告白する。

 佐伯と最初に会ったのは、徹生の葬儀の日である。佐伯から名刺を渡された。

 徹生にいったい、なにがあったのか知りたくなった千佳は、佐伯の呼び出しに応じて、赤ん坊の瑠久を乳母車に乗せて、ファミレスで会った。

 佐伯は、徹生が中傷にあっていたことや、社内で孤立していたことを告げる。千佳が知らないことばかりだった。

 「あなたの旦那さんは、家庭を持って、幸せに生きることに疲れたんですよ。それで死んだ」と、佐伯はいう。

 千佳が佐伯と再会したのは、徹生の墓参りに行ったときだった。

 「今日はね、あなたに仕事を紹介しようと思って。わたしがやっている店、デリヘルで働きませんか?あなたなら人気がでると思うんです」

 「わたしは、いつも主人とふたりで相談して生きているんです。そんな仕事を主人が許すわけはありません」

 「あなたは、デリヘルで働いている人たちを差別するんですか? 彼女たちは楽しくいきているんですよ」


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