経済の常識 VS 政策の非常識

2013年9月14日

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 アベノミクスの第1の矢、大胆な金融緩和によって、経済は順調に回復している。これを追い風にして、自民党は参議院でも勝利してねじれ解消に成功した。ところが、9月には消費税増税を決定しなければならない。安倍首相の心中を慮るに、折角、大胆な金融緩和政策で経済が成長軌道に乗り、国民の支持率も高く、誰もできなかった憲法改正に踏み込みたいのに、ここで景気が失速しては大変だと悩んでおられるということだろう。

 消費税1%でGDPの0.5%の税収が上がる。政府にとっては増収だが、国民にとっては減収である。2014年4月から消費税を3%上げるとGDP1.5%分の所得を国民から奪うことになる。過去20年間、平均で1%成長しかできなかったのだから、1.5%の所得が減れば、GDPはマイナス0.5%になると考えるのが普通だろう。ただし、エコノミストの平均予測(ESPフォーキャスト調査13年7月)では14年度の成長率は0.57%となっている。13年度の平均予測が2.75%だから、アベノミクスで成長率が2%以上になって、そこから1.5%下がって0.5%成長になると考えているのだろう。

 消費税増税には景気条項がついており、景気が悪ければ消費税増税をしなくても良いことになっているが、本誌が発売される前の8月12日に発表される4~6月のGDPは、エコノミストの平均予測で3.03%となっており、この半年間では3%以上の成長になるだろう。8月までに中国と欧州で金融危機が起こり、それが全世界に波及するといった事態にならない限り、消費税増税を中止することは難しいのではないだろうか。

 また、国際的な投資家に財政再建に熱心でないと見られることで、金利が上昇する危険もあるだろう。ショックを和らげるために1%ずつ5年間にわたって引き上げるという説もあるが、そんな面倒なことをしないでくれという人も多い。

5年で20兆円も
増えた歳出

 さて、そもそも消費税増税はなんのためになされるのだろうか。そう問えば、財政赤字を解消し、将来の高齢化に伴う社会保障負担の拡大に備えるためだという答えが返ってくるだろう。しかし、下図のように、国の歳出は07年度の80兆円から12年度の100兆円まで20兆円も増えている。

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