2024年4月30日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月16日

 3月20日、ベトナム共産党はヴォ・ヴァン・トゥオン国家主席の辞任を公表した。これにつき、フィナンシャルタイムズ紙の3月20日付け解説記事‘Vietnam political turmoil deepens as president resigns’は、①トゥオン国家主席の辞任の理由の詳細は明らかにされていない、②国家主席の更迭は昨年のフック氏に続く異例の事態であり、ベトナムへの投資を検討している投資家心理に悪影響をもたらす、と報じている。要旨は次の通り。

辞任したベトナムのヴォ・ヴァン・トゥオン国家主席(代表撮影/ロイター/アフロ)

 ベトナム共産党は、何百人もの役人の逮捕と高いランクの政治家の辞任を生んだ汚職捜査の中、「トゥオン国家主席は規則違反などを理由に辞任した」と公表した。このことは、政治的混乱を深め、投資家の心理に良くない影響をもたらす。

 米中の緊張激化を受けて、製造拠点の中国からの多角化がすすみ、ベトナムが外国投資を引き付けている中での政治的混乱である。

 共産党は、トゥオン氏の辞任を受領し、「同氏が党員としての禁止事項に関する規則を破った」との声明を出した。「トゥオン氏の違反行為は、世論や党、国家の評判を傷つけた」と同党は述べたが、詳細は明らかにしなかった。

 国家主席は、党書記長に次ぐポストである。この2つは、首相と国会議長を含む4人の集団指導体制の一員である。現書記長のグエン・フー・チョン氏は、数年にわたる汚職粛清の陣頭指揮を執ってきた、評論家は粛清の対象は政敵にも及んでいると言っている。

 53歳のトゥオンは昨年3月に国家主席に任命された。そして79歳のグエン・フー・チョン氏の後継者の一人と目されていた。


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