世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月18日

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 中台の軍事バランスが中国に傾く中、台湾は国防費を十分に増やさず、米国は台湾支援に消極的であり、危険な誤算に繋がりかねない、と11月6日付ウォール・ストリート・ジャーナル社説が警告しています。

 すなわち、台湾の国防部は10月に、2020年までに中国が米国の干渉をはねのけて台湾を侵攻できる能力を持つであろう、との公式見解を発表した。

 中国は、20年にわたって軍事予算を毎年10%以上増加させ、今や、数分のうちに台湾の目標に照準を合わせることのできる弾道ミサイルを2,000基近く保有している。人民解放軍は、迅速に台湾の制空権を握ることが出来るであろう。中国は、対艦弾道ミサイル、衛星攻撃兵器、先進的なジェット戦闘機、攻撃型潜水艦を含む、米軍の接近を拒否する兵器も増やしている。ペンタゴンは、5月に、中国軍の近代化は、これまでの台湾の優位を帳消しにしたと結論付けている。

 こうした危険な状態は、中国の強さだけでなく、台湾の弱さの反映でもある。馬英九は2008年に総統に選出された時には、GDPの3%を国防費に充てると約束したが、2010年以来、GDP比2%強、政府の総支出の16%しか国防費に充てていない。1990年代半ばには、それぞれの数字は、3.5%、24%であった。

 台湾軍は、志願兵制度への移行によって圧迫されている。現役兵士は270,000人から215,000人に減り、人員獲得費用は上昇している。今夏の若い兵士のいじめによる死亡は、軍の内部規律と外部からの評判を傷つけている。

 馬政権は、2009年の台風8号(Morakot) からの復興などの要因で国防費が減っている、と言っているが、台北は、馬が2016年に退任するまでに事態を好転させるビジョンを示していない。「台湾の軍事能力に関しては、台北には不可解な安心感がある」とJohn Cornyn米上院議員は指摘している。

 米国のアジア回帰は、同盟国と友邦に国防への投資を増やすよう求めるものだが、台湾については沈黙している。米国は、F-35はもとより、F-16 C/D の台湾への売却を拒否してきた。これにより、台湾は、2019年に退役予定の旧式のF-5飛行隊の置き換えが出来ずにいる。米政府は、昨年、台湾が1992年に購入した145機の F-16 A/Bを更新することに同意したが、それは、飛行機を若返らせるわけでも、機数を増やすわけでもない。

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