米台商業協会のRupert Hammond-Chambers は、米当局者は台湾に新しい武器を売却することを嫌がり、ここ2年、台北が武器をリクエストする前に特別の許可を求めるよう要請している、と報告している。同氏によれば、武器売却の無い状態はこれまでで最長となっており、F-16 A/Bの更新から約2年経ったが、新しい計画は進行していない。
国防部は、より多くの支援を得るために、中国の脅威を誇張しているかもしれないが、ワシントンが「戦略的曖昧さ」を維持しているので、台湾海峡での紛争に関与すると思われる米軍の能力に賭ける以外に、選択肢はない。台北とワシントンは、国防部の警告を真剣に受け止めるべきである。台湾海峡のようなフラッシュポイントでは、弱いと認識されることは、危険な誤算に繋がりかねない、と論じています。
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台湾海峡の軍事バランスが中国有利に転じていることは、ここ十年来指摘されていますが、台湾の国防部が、2020年までに、米国の干渉があっても、中国がそれをはねのける力を持つであろうと公に言明したことは、確かに注目する必要があります。
台湾の国内政治は、2016年前半の総統選挙にはまだ2年余りありますが、国民党政権の対大陸政策の限界も大体見えてきて、台湾と大陸の関係には既に流動的な兆しが見えます。もしこの国防部の正式な判断表明が、大陸との友好一辺倒の国民党政府の姿勢に対する隠微な警告または抵抗であるとすれば、それも情勢が変化しつつある一つの予兆であるかもしれません。
米国の側については、オバマ政権成立以来の台湾政策は、F-16/CDの台湾売却を拒否して、F-16/ABの改造を許可しただけだと言えますが、それももう3年前の話です。オバマ政権の間に、新たな台湾安全保障強化の課題が生じた場合、オバマ政権はそれを無視できるでしょうか。
いずれにしても、長く閑却されていた台湾の安全保障の問題はここ1、2年のうちに再浮上してくる可能性があります。
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