日本の漁業は崖っぷち

2014年3月18日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 リオ・オリンピック組織委員会の覚書によると、2016年にブラジルで開かれるリオ五輪では、持続性があると認められた水産エコラベル(MSC:海洋管理協議会・ASC:水産養殖管理協議会)のついた水産物の食材のみが、供給されることになっています。オリンピック、パラリンピックの競技期間中に約1,400万食が提供される見込みです。世界では、持続性のない、きちんと資源管理されていない水産物は市場から排斥される傾向が年々強まっています。2020年に開催される東京オリンピックでは、その傾向が一層強まっていることは確実です。

世界的に人気の高い「寿司・刺身」

 2013年にユネスコの無形文化財に指定された「和食」。「和食」と言えば「魚」です。日本からの食料品輸出額が大きいモスクワ(ロシア)、ホーチミン(ベトナム)、ジャカルタ(インドネシア)、バンコク(タイ)、サンパウロ(ブラジル)、ドバイ(アラブ首長国連邦)の6都市でジェトロ(日本貿易振興機構)が2013年12月、10~50代の男女(在留邦人を除く)に、インターネットでアンケートを行いました(サンプル各国500人x6カ国=3,000人)。その結果「好きな日本料理」の1位には全ての都市で「寿司、刺身」が挙げられています。東京オリンピックは、世界的にも人気のある「和食」をより多くの人々にアピールする絶好の機会です。しかし、水産エコラベルをつけられないという理由で、食材に国産の水産物がほとんど使用できず、輸入に頼らざるを得ないとなると、国内外で滑稽に映ってしまうことでしょう。

 これから取得を試みたとしても、今のままの資源管理では、海外で評価が高い水産エコラベルの認可を受けることは厳しい状況です。また、取得には年月がかかります。ロシアのスケトウダラが昨年得たMSCマークを得るまでに、米国からの異議申し立てが出たりして丸4年かかっています。日本の基準で漁業経営の影響を考慮し、自ら考えたものだからこの程度で大丈夫だろうという気軽なものではないのです。

全員が勝者になれる「資源管理競争」

 世界では、資源管理競争が激化しています。きちんと科学的な根拠をベースに管理をしていけば、この競争には敗者はなく、全員が勝者となれる競争です。資源管理をきちんとしている漁業先進国(北欧、北米、オセアニア等)は、ますます豊かになり、一方で日本のように資源管理競争に参加していない国は、「獲れない、安い、売れない」という三重苦が続き、漁業者を苦しめ、コミュニティごと衰退させてしまっているのです。

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