世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月27日

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 2月10日付のProject Syndicateで、Joseph S. Nye米ハーバード大学教授が、米国が内向きになり孤立主義に陥っていると見るのは間違いである、と論じています。

 すなわち、本年のダボス世界経済フォーラムと数日後のミュンヘン安全保障会議において、米国は内向きになり孤立主義になっているのではないかとの質問を多く受けた。ケリー国務長官はダボスでの力強い演説で「米国は関与を控えることは無く、これまで以上に関与を深めていることを誇りにしている」 と述べたが、疑念は消えなかった。

 ダボスでは、参加者の多くが、米国の景気後退を米国の長期的衰退と誤解していた数年前とは違って、今年は、米国経済が底力を相当に回復したと見ていた。

 他方、経済についての悲観論者は、かつてはもて囃されていたブラジル、ロシア、インド、トルコのような新興市場に注目していた。

 米国の孤立主義に対する懸念は、最近の出来事に由来する。先ず、米国はシリアに軍事介入することを控えている。更に、アフガニスタンからも撤兵することになる。オバマ大統領が議会との対立や政府閉鎖の結果、昨秋のアジア訪問をキャンセルしたことも、良くない印象を与えた。

 ケリー長官の外国訪問が中東に焦点を当てていることもあり、アジアの指導者たちの多くは、日中間の緊張が高まっていることがダボスでの両国指導者の発言から明白であるにも拘らず、オバマ外交の看板政策であったアジアへの戦略的リバランス政策は勢いを失ったと見ている。

 ピュー・リサーチ・センターと外交問題評議会が行った最近の世論調査では52%の米国人が米国は「国際的に自分のことだけ考えればよく、他の国はそれぞれ自力で対応すればよい」と答えている。同様の数の米国人が、米国は十年前より「重要性が低く、力も弱まった」としている。

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