【WEDGE創刊25周年特集】英知25人が示す「日本の針路」

2014年4月25日

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 プログラミングの重要性は、使ったことのない人にはなかなか理解されません。それは、運転免許を持たない人が運転できなくても生きていける、あるいは大昔の人が文字が読めなくても生活できると言っているのと変わりません。しかし一旦、文字や運転を知ってその便利さを体感すれば、もう元には戻ることはできません。

 マイクロソフトのエクセル、ワードといった定型ソフトや、iPhoneのアプリがあるじゃないかと思うかもしれません。でもそれは、定期観光バスだけで旅行しているようなものです。自作ソフトは車です。バスが行かないような獣道でも自分の思いのままにどこまでも行くことができます。

 商用のソフトは、バグつぶしに95%の時間をかけるために必ずコスト高になり、汎用性を狙って多くのニーズを満遍なく満たすために個別のニーズには対応してくれません。自分でソフトが作れれば、バグがあっても構いませんから、5%の時間で95%の完成度を得ることができ、しかもやりたいことに完全にフィットしたものを作ることができます。

 私は、過去にはプロのプログラマーとしてC言語で数十万行ものプログラムを書きました。その経験を活かして、中国や台湾のサイトから漢文を、またヨーロッパのサイトからはギリシャやラテンの古典語の文章ををダウンロードし、日本語の環境で自由自在に検索するシステムを作りました。これのおかげで、大学の教材作りもブログや著書の執筆も非常に楽にできます。誰かが作ってくれるのを待っていたら、それこそ「百年河清を俟」ってもできないでしょうね。ちょっとしたアイデアは直ぐに実現できるという、現代の素晴らしいコンピュータ環境にいるのに、その恩恵を全く感じていない人が多いのは残念に思います。ちなみに私は現在、C言語(Borland C)とawk を使ってプログラムを書いています。Windows7環境ですが、かなりUNIX/LINUX的な作業環境を実現しています。

 最後に「リベラルアーツ」です。これは、政府や国際機関、グローバル企業に勤務し、外国人を率いてプロジェクトを遂行する先述の5%の人と、立場や職業によらず、自分の生き方を見つめ直したいと考えるあらゆる人々にとって不可欠です。

 リベラルアーツの根本精神は、「常識を疑う」ことと各国の「文化のコアを知る」ことです。リベラルアーツを学ぶことなく外国人を使って仕事をするというのは、あたかも準備体操せずに試合に出るようなものです。骨折するに決まっています。

 外国人など価値観が違う人をどう理解するか。そのためには一度、常識を疑い、自分の価値観を捨てて、相手の価値観の中に入らないといけません。自分の常識、価値観が本当に世界で通用するのか見極めるという厳しい経験を経て、自分のprincipleが作られていくのです。日本にはdiversityがないため常識がなんとなく共有され、そういう厳しい経験が必要なかったのです。

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