「私は実質的な学歴は高卒といっても過言ではありません。ほとんどのことは、大学と関係なく自学しましたから」。企業や学生など様々な人にリベラルアーツ教育を行ってきた麻生川静男氏は歴史や古典、語学や科学技術など幅広い分野で深みのある教養を蔵している。実体験に基づき、真のグローバルリーダー育成のために必要な改革を説く。
日本人は世界で存在感を発揮できていません。25年後を見据えれば、グローバルで活躍できるリーダーをいかに育てるかが喫緊の課題です。
『アフリカ駐在物語』(斎藤親載・著、学生社)にこんな記述があります。
「(一般的にアフリカでは)日本人は愛されるが尊敬されない。英国人は嫌われるが尊敬される」
日本は明治維新以来、西欧文明の輸入に勤しんできましたが、その幹であるfreedom(言論の自由)と principle(原理・原則)の概念が未だに浸透していません。理より情が優先し、故・山本七平が指摘した「空気」の力によって、異論は圧殺されます。これは、日本にdiversity(多様性)が足りないからです。
欧米含め世界には「空気」はありません。「君のprincipleは何だ」と大人から子供まで、自由に、競うように意見を言い合います。日本人はprincipleがなく、ただ好かれようとするだけですからグローバル社会では尊敬されないのです。議論すると化けの皮が剥がれてしまうのです。
日本人全体の5%でいい。この層が、グローバルで活躍できるリーダーになるか、尊敬されるかによって、今後の国力は大きく左右されます。日本にdiversityを作るのは現実性がないので、5%の層に、なるべく若いうちに世界に出て、実地の経験を積んでもらうべきでしょう。