代理店で列車・バスを購入するたびに味わう不快と不信

時間と手間を節約するため旅行代理店で予約切符を購入する場合には手数料が極めて曖昧で相手次第ということを甘受せねばならない。同じ区間で夜行寝台列車と夜行バスを比較すると一般的にバスの方が割高である。列車は国営鉄道なので運賃体系が低く抑えられている。バスは私営バスに対抗して公営バスも最新型バスを導入して価格設定し、シーズンにより料金を変動するので列車より割高だ。
代理店で列車のチケット購入する場合は切符料金+代理店手数料を払う。切符料金は切符に明記されているが代理店手数料は不透明で“言い値”である。代理店が客の様子を見て合計金額を請求するのだ。シーズンで列車の切符が入手困難でバスも値上がりしている状況なら代理店手数料を吹っ掛ける。
代理店手数料は町から駅までの往復の三輪車タクシー代+手間代が基本である。ちなみにバルカラからカンニヤークマリまでは正規切符料金800円に対して代理店手数料900円であった。バス乗り場が不便な場所にあり列車も連日満席であることから代理店のオヤジに足元を見られたのだ。
バスは代理店手数料込みであり代理店はバス会社に乗客の氏名、年齢、連絡先をネットで登録するだけでチケットは発行しない。バス会社によりバスの仕様が大きく異なり、また出発時間や運行ルートも異なるのでバスのチケットは数社の代理店をまわって比較しても相場が判然としないことが多かった。手数料をボラれても仕方ないと覚悟するしかない。
そして代理店は列車でもバスでも領収書を発行しない。そもそも代理店がこのように相手を見ながら適当に手数料を請求することがビジネス慣行として許容されているのはなぜか。
値段は相対の交渉で決まるもの『定価がないインド』
インドで町なかで三輪車タクシーを拾ってどこかに行こうとすると事前にローカル相場を知っておく必要がある。ドライバーに「●●まで行きたいがいくらか」と聞くと必ず「いくら払うか」と聞かれる。ここで相場より若干低めに提示して交渉を始めるのだ。
ドライバーは外国人旅行者ならローカルの客より高く払うのが当然という前提で交渉に臨む。市場で野菜や果物を買うのと同様である。
しかも割高料金を吹っ掛ける屁理屈は変幻自在。朝だと「早朝料金」、日が暮れると「夜間料金」、少し遠いと「ガソリン価格が今日から値上がりした」、道が複雑だと「遠回り料金」、街中を通過する場合は「混雑料金」などなどローカルの相場とはかけ離れた料金を主張するので根負けしてしまう。