JTBとAirbnbが、空き家の民泊活用に向けた連携協定を結んだと報じられた(2025年1月22日付の日本経済新聞)。こうした動きは、民泊が確実に普及し、多くの旅行者が宿泊先として利用するようになったことを反映している。
今では当たり前のように利用されている民泊であるが、2017年6月に公布された住宅宿泊事業法の下で運営されていることから考えると、日本での認可された宿泊業としての歴史は浅い。民泊の広がりによって新たな観光の形や地域経済の活性化が語られる反面、迷惑行為による反対運動も伝えられている。このメリットとデメリットは個別の事例として語られるだけで、全体の効果は語られにくい。
民泊をさらに普及させるべきなのか。日本で民泊がどれだけ広がり、地域へどのような影響を及ぼしているのか総合的な視点から検証し、課題を見ていきたい。
着実に増加するもエリアは偏在
住宅宿泊事業法は、民泊の安全、衛生を確保し、騒音やゴミ出しなどの近隣トラブルが生じないように一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を図るものとして新たに制定された。民泊を始めるには、都道府県知事もしくは保健所設置市の長、もしくは特別区(東京23区)の長への届け出が必要とされている。
民泊の数は着実に増加し、観光庁の民泊制度ポータルサイトに掲載されている住宅宿泊事業の届出住宅数(=届出件数-事業廃止件数)(2025年1月25日最終確認)をみると、24年11月18日時点で全国の住宅宿泊事業の届出件数は4万5270件、うち事業廃止件数が1万7450件である。その差である届出住宅数2万7820件がる民泊の件数となっている。
増え方をみると、届出件数は右肩上がりで、コロナ禍の前の19年中頃は1万5000件程度であったが、24年末には4万5000件に達した。コロナ禍で事業廃止件数が増加したため、営業していると考えられる届出住宅数は20年初めに2万1000件超と一時下落したものの、23年から再び増加し、24年末には2万7000件を超えた。