フィギュアスケート男子で五輪2連覇を成し遂げたプロスケーターの羽生結弦さんが手掛ける単独公演「Yuzuru Hanyu ICE STORY 3rd “Echoes of Life” TOUR」が9日、千葉・ららアリーナ東京ベイで千秋楽公演を迎えた。埼玉、広島に続いた千葉公演で3都市7公演の全日程を終えた羽生さんは、フィナーレを前に感極まった。

「音」をキーワードに自らが執筆した「命」をテーマにしたストーリーを氷上に描く壮大な挑戦に「全魂を込めて滑らせていただきました」と完全燃焼した。一方で、昨年12月7日の公演初日に30歳を迎えた羽生さんは、強くしなやかな肉体とワンマンショーならではのタイトなインターバルでの演技を全力でこなすべく、新たな調整法に挑むなど進化を止めないどん欲な姿勢もうかがわせた。
競技者時代さながらの演技構成
最後は限界を超えた体力を気力で補うように、何度も肩で息をした。
アンコール3曲目で自身の代表的なプログラム「SEIMEI」はセットされた髪を振り乱すほどに激しく演じ、全15曲、2時間半超におよんだ単独公演が幕を閉じた。
マイクを氷上に置いた羽生さんは大きく息を吸って、「ありがとうございましたー!!」と会場に地声を響かせた。
「First Pulse」で幕を開け、強弱を織り交ぜた多彩な演目の連続は、満員で埋まったアリーナの観客を圧倒した。怒濤の「ピアノコレクション」をわずかなインターバルで演じ切った先に、今度は代名詞のショートプログラム(SP)曲「バラード第1番」を演じた。
しかも、平昌五輪で金メダルをたぐり寄せたときと同じ高難度のジャンプ構成だった。会場は、競技者時代の試合さながらの緊張感に包まれる。
演技は完璧だった。冒頭の4回転サルコーを華麗に跳ぶと、競技者時代の平昌五輪時代のルールで基礎点が1.1倍になる演技後半にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、4回転-3回転の連続トーループを鮮やかに決めた。