ボアオ・アジアフォーラムが4月8日から11日まで中国南部の島、海南省のボアオで開催された。習近平国家主席も出席した昨年ほどではなかったものの、李克強総理をはじめオーストラリア、韓国、ラオス、東チモール、ミャンマーなどから首相、議会議長など(日本からは福田康夫元首相が参加)が出席して大々的に行われた。
しかし、今回取り上げるのは政府首脳が参加した本会議ではなく、分科会に参加してその一挙手一投足に注目が集まった一人の財界セレブについてである。「赤い貴族」(中国では「紅二代」と呼ばれる)としての「太子党」の代表格、李鵬元首相の娘、李小琳女史だ。彼女は分科会に出席し、再生可能エネルギーについて見解を披露した。
彼女に対して中国内外のメディアはセレブ・ファッション(派手なブランドの衣服に身を包んだ彼女の動向)に注目していたが、今回の関心事はこれまでとは全く違ったところにあった。それは少し前に香港の雑誌で報道された、まさにその土地、海南省ボアオの土地取引を巡る疑惑である。このスクープ記事によって汚職の取締りが電力業界を牛耳る李鵬一族に及ぶのではないかという憶測が生じたのだ。
中国のエネルギー産業で隠然たる影響力をもつ
李小琳女史は1961年生まれで、父親の李鵬氏は1988年から98年まで10年にわたって首相を務めた。首相時代には三峡ダム建設にイニシアチブを持ち政権での建設賛成派をリードし、建設にこぎ着け、その後はプロジェクトの権限を一手に握った。李女史は現在、中国電力国際発展有限公司(以下、中電国際と略称)の董事長(代表取締役)で中国電力新能源発展有限公司(以下、中電新能源と略称)の董事長も兼任する。
中電国際は、中国に5つある電力会社の一つ中国電力投資集団の子会社(孫会社といわれる)で李女史はここの副総経理でもある。つまり中国電力の重役兼香港支社長のような立場だ。政府でも全国政協委員(参議院議員のような立場)を務めいろいろな提案を行い、中国のエネルギー産業で隠然たる影響力を持っている。李女史はフォーラムでも新しいエネルギー開発についての見解を披露した。