世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月4日

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 米戦略国際問題研究所(CSIS)のグレイザー上席研究員が、4月15日付でCSISのウェブサイトに掲載された論説で、台湾は、南シナ海における領有権問題を鎮静化させるために、その権利の主張の根拠としている9点線の内容と意味を明確にすべきである、と述べています。

 すなわち、東シナ海をめぐる外交では、台湾は、創造的で建設的である。2012年8月に、馬英九総統は、尖閣をめぐって高まる緊張をマネージするための東シナ海平和イニシアティブ(ECSPI)を提唱した。その鍵となる要素は、自制、紛争の棚上げ、国際法遵守、行動規範の追求、東シナ海における資源の共同開発、である。

 台湾は、日本との間で、主権についての相違を脇に置いて、争われている島の周りでの台湾の漁民の漁業権を守る漁業協定に署名し、ECSPIがどのように実施されるべきか、具体的な例を示した。

 しかし、南シナ海では、近年、領有権主張国(台湾、中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ)の間での緊張が高まっているにもかかわらず、台湾はほぼ沈黙を守ったままである。南シナ海における不安定の主要な源泉は9点線である。そもそも、9点線は、1947年に中華民国政府によって引かれた「11点線」が起源である。

 ジェフリー・ベイダー元NSCアジア上級部長は、最近、米国と台湾が9点線をめぐる台湾の立場を明確に出来るかどうか議論することを提案している。台湾は、9点線の意味を明確にし、海洋における主張を国際法、とりわけ国連海洋法条約に遵わせることにより、南シナ海の緊張緩和に向けた積極的なアプローチを、真剣に考慮すべきである。海洋法条約は、海洋への権利の主張は地形に基づかなければならない、と要請している。排他的経済水域(EEZ)や拡張された大陸棚の根拠として、「歴史的権利」は認められていない。

 台湾にとっての第一歩は、中華民国の歴史的文書を十分に再吟味して、「11点線」の元来の意図を完全に理解することであろう。しかる後に、台湾は、主張している地形のどれが200海里のEEZの根拠となり得る島であり、どれが12海里の領海しか持ち得ない岩であるのか、明らかにすべきである。台湾がこのように主張を明確化するのに、国境や主権主張を修正する必要はないのであるから、憲法を改正する必要はないであろう。

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