WEDGE REPORT

2014年10月8日

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カジノを含む統合型リゾート導入に向け、IR推進法案が臨時国会で成立する見通しが高まっている。しかし、議論が十分になされているとは言い難い。

経済効果だけで良いのか
負の面まで含めた議論を

 臨時国会で成立する見通しが高まり、注目が集まっている統合型リゾート(IR)推進法案。法案の核を成すのは、カジノ合法化である。カジノによる経済効果については、波及効果も含め、7兆7千億円とも試算されており、各都市において、経済活性化の切り札としてカジノ導入の検討が進んでいる。

(ECHO/GETTYIMAGES)

 これを推し進めているのが、国際観光産業振興推進議員連盟、通称「IR議連」である。最高顧問には、安倍首相、麻生副総理、石原慎太郎氏、小沢一郎氏が就き、政党の垣根を超えて、多くの政治家が名を連ねる。自民党内に反対勢力は少なく、法案が成立する公算は高い。内需の成長材料が少ない中、産業界の期待も高く、パチンコ関連企業などが、準備を始めている。

 成長戦略の具体策が「弾切れ」であるため、外国人も呼び込むような大型の観光需要喚起策が欲しいのは理解できなくもないが、日本はかつて「総合保養地域整備法」、通称リゾート法(1987年公布)で大失敗した過去を振り返る必要がある。

 「需要が過大に見積もられたことや、民間投資への過大な期待、地元経済界との乖離等によって失敗に終わった。IR推進法はかつてのリゾート法の失敗を何も総括していない。新しい要素はカジノだけ」と都市・地域経営を専門とする青森公立大学の佐々木俊介教授は警鐘を鳴らす。

 人口減のなかで、経済的なインパクトの大きさに夢中になる政府は、一発逆転を狙うギャンブル中毒者のようなものだ。カジノには治安悪化や資金洗浄、依存症など、負の面が存在することを忘れてはならない。国会の議論の盛り上がりを期待し、あえて少数派の慎重論を提示したい。

より詳細な慎重論はこちらで:
*カジノの経済効果は不透明 共食いでは意味がない(鳥畑与一)
*依存症大国 日本 事前対策なしにカジノ合法化を進めるな(滝口直子)

◆Wedge2014年10月号









 

  
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